欧州連合・北大西洋条約機構間の関係とベルリン・プラス合意
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/18 19:58 UTC 版)
「共通安全保障防衛政策」の記事における「欧州連合・北大西洋条約機構間の関係とベルリン・プラス合意」の解説
詳細は「ベルリン・プラス合意」を参照 ヨーロッパの安全保障の柱を独立させたことにより大西洋両岸の議論の場である北大西洋条約機構の重要性が薄れているのではないかという懸念が出されるようになった。サン・マロ会談を受けて、アメリカ国務長官マデレーン・オルブライトは現在でもなお用いられているアメリカの欧州安全保障防衛政策に対する要望を示した3つのDを表明した。すなわち、北大西洋条約機構の下で効率的に実施できる行動と重複 (duplication) させないこと、アメリカおよび北大西洋条約機構を分断 (decoupling) しないこと、トルコなどの欧州連合非加盟国を区別 (discrimination) しないことである。 2002年の欧州連合・北大西洋条約機構共同宣言において、協力関係の形として6つの原則が策定された。このなかでも危機管理活動は「相互に補強しあう」ものであり、すなわち実効的な協議・協力がなされ、また相互の対等な関係に基づき「意思決定の自主性と影響力」に対して十分に考慮し、「両機関に共通する必要な軍事力の結合と相互補強」を行っていくというものとされた。これらの協力関係はベルリン・プラス合意を反映しているものである。つまり2003年3月以降は北大西洋条約機構が行動することを拒否した場合でも、欧州連合は北大西洋条約機構の組織や制度、資源を使って軍事行動を実行することができるようになった。さらに欧州連合・北大西洋条約機構間での情報共有についての合意が署名され、また欧州連合の連絡機関が欧州連合軍最高司令部(SHAPE; 北大西洋条約機構の計画・活動における戦略的中枢)やナポリの統合部隊司令部に設置されている。 欧州連合の部隊と北大西洋条約機構との関係を表現する言葉に「分離可能だが一体のもの」(separable, but not separate) というものがしばしば使われることがある。つまり同一の部隊と軍事力によりEU・NATO双方の行動の基礎を形成することになるが、それらは必要であれば欧州連合のために用いられることがあるというものである。また作戦に関しては優先権があり、北大西洋条約機構が行動を拒否する場合に限り欧州連合が行動の実施を決定することができる。
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