樹木の移植説・野鳥の捕食説
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/29 09:09 UTC 版)
「クマゼミ」の記事における「樹木の移植説・野鳥の捕食説」の解説
クマゼミの棲息域の拡大の原因として、樹木の移植の際に根の周囲に混入した幼虫を挙げる説や樹木環境の変化を挙げる説もあり、全てが地球温暖化が原因であるとは断言することはできない。 従来、アブラゼミが多かった都市において、クマゼミの棲息数が増えてアブラゼミが減少した原因について、地球温暖化とヒートアイランド現象の影響とする説もあるが、野鳥の捕食が関連するという論文もある。これはクマゼミとアブラゼミの天敵回避方法の違いによるもので、アブラゼミは近くの樹木に隠れる習性があるがクマゼミは木には隠れず遠くへ飛んで逃げるため、樹木の少ない都市部ではアブラゼミは逃避に手間取ってしまい野鳥に捕食されやすいというものである。 また、東京ディズニーランド内の人工林や東京都大田区や埼玉県蕨市の公園などでは局地的にクマゼミが毎年発生している。これは後述のように植樹によって幼虫が持ち込まれたことが原因と考えられている。東京都多摩地区や神奈川県川崎市の公園でもそのようなケースは多数確認されている。奄美大島・徳之島におけるクマゼミの発見も上述のように樹木の移植が原因と考えられているほか、札幌でクマゼミの声がごくまれに聞かれる事例も樹木の移植が原因である可能性がある。 他の昆虫であれば、幼虫が持ち込まれても冬を越せない、繁殖できないなどの理由で、翌年には姿をみせなくなることが多い。しかしセミ類の場合、気候の影響が比較的少ない地中で、幼虫として何年も過ごす。すなわち、樹木の根にクマゼミ幼虫が混入していた場合、何年もクマゼミが羽化し続けることになる。幼虫が全て羽化し終わるまで、クマゼミが発生し続けるが、成虫は繁殖できず定着できない可能性もある。クマゼミの定着については、東京都町田市や神奈川県大和市など生き物調査を継続している自治体も複数ある。
※この「樹木の移植説・野鳥の捕食説」の解説は、「クマゼミ」の解説の一部です。
「樹木の移植説・野鳥の捕食説」を含む「クマゼミ」の記事については、「クマゼミ」の概要を参照ください。
- 樹木の移植説・野鳥の捕食説のページへのリンク