樹木の原告適格
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/14 06:05 UTC 版)
1972年に、アメリカ合衆国の法哲学者、クリストファー・ストーン Christopher Stone が『樹木の当事者適格』(原題は「Should Tree Have Standing?」)という論文を執筆。これは、後述のシエラクラブ対モートン事件の二審判決において原告側が請求却下されたのを受けて、特にダグラス判事に対して訴訟を認めるよう訴えかける狙いで執筆されたものである。この中でストーンは、権利概念の拡張と自然物の原告適格に言及した。その論理は、「権利の主体は、富裕層のみ・男性のみ・白人のみ、といった限定を次々にはずされ、拡張されてきた。この流れは、人類以外の存在にも向けられるべきだ」とするものである。そして、訴訟上は、後見人や信託人としての人間が、「被害者」である自然物に代わって賠償請求をして環境修復の費用に充てたり、開発の差し止めを行うことを認めていけばよいとした。 この時点で、はじめて「自然物にも法人格を認め得る」という現代法的意味あいでの自然物の位置づけが提案された。ただし、13年後になってストーンは、『樹木の当事者適格』について自己検証する論文を発表し、ミネラルキング渓谷のような土地にまで当事者適格をすぐに拡大したのは、問題を単純化し過ぎていたと反省している。
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