梨の桃澤式盃状棚仕立法
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/01/05 08:56 UTC 版)
日本の梨栽培では、台風による果実の落下を防ぐため、いづれの産地でも棚仕立法を採用している。平坦地の棚仕立法としては、主幹を棚の真下まで伸ばし、主枝を水平にする関東式と、主幹の長さをやや短くとり、漏斗状に主枝を配置する関西式が主なものであった。 桃澤式盃状棚仕立法は、主幹を短くし(主幹が短いほど樹勢が強い)、その上に四本の主枝を三年間直立させ(枝は立っているほどよく伸長する)、四年目の春に垂直に伸びた主枝を倒して均等に配置し、棚付けすることによって、養水分の流動を容易にし、枝の太さに差の少ない骨組みを作るというものである。桃澤は、主枝上に配置する亜主枝、側枝などの形成、配置も無理が無く、機械的に整枝する手法も開発し、指導することに成功した。これらにより、葉で合成された養分が均等に配分され、果実の肥大が良好で、場所による品質差もほとんどない高い商品性の果実を生産する成果をもたらした。 盃状形整枝はニホンナシの棚仕立ての理想型の一つであるが、主幹周辺部の枝が低いためにその付近へ機械が入りにくいこともあり、関東を中心とした平坦地の赤ナシ地帯では盃状形より主幹の高い折衷式が現在主体となっている。しかし主枝の伸長に当たり、主枝を垂直に立てるという桃澤式の考え方は折衷式にも採り入れられており、その技術は今でも各地で生かされている。
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