本瓦の部分名称
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/18 06:06 UTC 版)
本瓦とは、緩やかに湾曲する凹面を上向きにした平瓦と、半径の小さな曲面の凸面を上向きにした丸瓦の二種を交互に重ね合わせる瓦である。また、軒先に使用される瓦は瓦当(がとう)と呼ばれる部位が付けられ、それぞれ軒平瓦、軒丸瓦と呼び、両者を合わせて軒先瓦ともいう。 上記の名称は建築史家の足立康によって提唱された学術的名称だが、古文書などに記され古来から使用される歴史的名称を用いる事もある。その場合は、平瓦は女瓦(めがわら)、丸瓦は男瓦(おがわら)、軒平瓦は宇瓦(のきがわら)、軒丸瓦は鐙瓦(あぶみがわら)と呼ぶ。この二種類の呼び名は昭和初期に名称論争にもなったが統一されることなく、2010年代に至ってもどちらの名称を用いるかで研究者を二分している。本記事では学術的名称で統一する。 平瓦は曲面を持つ二つの端部に長短がある。長い方を広端(ひろはし)、短い方を狭端(せまはし)と呼び、広端が水上で狭端が水下とするのが一般的である。丸瓦には継ぎ目部分に段差(この部位を玉縁(たまぶち)という)がある玉縁式(たまぶちしき、有段式ともいう)と、段差がない行基式(ぎょうきしき、無段式ともいう)がある。多くの瓦は玉縁式で、玉縁部の成型法によっても型式分類される。行基式の場合、上下で曲面の大きさが異なり、大きい方を広端、小さい方を狭端と呼び、広端が水下、狭端が水上となる。 それ以外にも鬼瓦や鴟尾に代表される多種多様な役瓦(道具瓦ともいう)がある。 平瓦(女瓦) 丸瓦(男瓦) 軒平瓦(宇瓦) 軒丸瓦(鐙瓦) 左が玉縁式、右が行基式(元興寺) 軒平瓦・軒丸瓦の瓦当(周防国分寺出土) 鴟尾(高井田廃寺跡出土)
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