本書に対する批評・批判
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/01/01 17:12 UTC 版)
「共産党宣言」の記事における「本書に対する批評・批判」の解説
本書はマルクス主義の文献の中でも、最も広範に読まれていた文献のひとつである。そして反対者・批判者からこれを典拠とする批判も数多く行われている。そのうちの最も多いものの一つが「共産主義者は、これまでのすべての社会秩序の暴力的転覆によってのみ、自分の目的が達せられることを、公然と宣言する」という叙述への批判である。 また、バブーフの財貨共有制を批判したものの、生産手段と生活手段の区別がなく「ブルジョア的所有の廃止」というスローガンと並んで「私的所有の廃止」という目標も掲げられていることが、「共産主義は私有財産をとりあげる」という批判の根拠になった(しかし当書には、宣言における私有財産の廃止とは即ち、ブルジョア的所有の廃止のことであるとする趣旨の内容が書かれている)。 マルキスト側からは、その前文には「共産主義者はどこでも、あらゆる国の民主主義政党との同盟と協調に努める」と記されており、さらに暴力革命は、ヨーロッパにおける議会状況を反映したものであること、マルクスらは後年これらの見地を捨てたことなどが反駁としてあげられている。 しかしながら、正義者同盟も共産主義者同盟も、非民主的な方法で社会の変革を目指す一つの秘密結社であったので、実際の方法論としてはマルクスも、シャッパーやヴァイトリングも、暴力革命の路線を一時的にせよとったであろうことは推測される。なお最も明確に最後まで暴力革命路線を持ちつづけた同盟関係者は、ヴァイトリングであった。
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