朝鮮の鈴
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/10 15:00 UTC 版)
基次郎は、草稿「帰宅」で描いた性病に対する恐怖の夢を利用して、断片的な草稿「朝鮮の鈴」(「心の影」とも呼んでいた)を1925年(大正14年)に書くが、この草稿では文脈的に主人公Nは現実にも性病に罹ったように設定されているが、まだ鈴の音については書かれておらず、草稿名だけにとどまっている。 『ある心の風景』で書かれている朝鮮の鈴の音は、病んだ身体を洗い清めるものとして描かれているが、この癒しの感覚をもたらす鈴は、『檸檬』のレモンに相当するアイテムとなっている。この岡崎公園での博覧会の朝鮮館で友人が買ったという朝鮮の鈴は、浅見篤から聞いた話が元になっている。 主人公の喬が腰に朝鮮の鈴を提げて歩く四条通から曲がる新京極通は、実際に基次郎が三高時代によく歩いていた夜道の光景で、その様子は習作「小さき良心」(1922年)にも描かれている。
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