有限測度の場合とは? わかりやすく解説

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有限測度の場合

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/01 17:38 UTC 版)

ラドン=ニコディムの定理」の記事における「有限測度の場合」の解説

はじめに μ と ν のいずれも有限値の非負測度である場合考える。F を、次の関係式満たすようなそれらの可測函数  f  : X → [0, ∞) の集合とする: ∀ A ∈ Σ : ∫ A f d μ ≤ ν ( A ) . {\displaystyle \forall A\in \Sigma :\qquad \int _{A}f\,d\mu \leq \nu (A).} 少なくともゼロ函数を含むため F ≠ ∅ である。今  f1,  f2 ∈ F とし、A を任意の可測集合とし、次を定義する: A 1 = { x ∈ A : f 1 ( x ) > f 2 ( x ) } , A 2 = { x ∈ A : f 2 ( x ) ≥ f 1 ( x ) } , {\displaystyle {\begin{aligned}A_{1}&=\left\{x\in A:f_{1}(x)>f_{2}(x)\right\},\\A_{2}&=\left\{x\in A:f_{2}(x)\geq f_{1}(x)\right\},\end{aligned}}} このとき、 ∫ A max { f 1 , f 2 } d μ = ∫ A 1 f 1 d μ + ∫ A 2 f 2 d μ ≤ ν ( A 1 ) + ν ( A 2 ) = ν ( A ) {\displaystyle \int _{A}\max\{f_{1},f_{2}\}\,d\mu =\int _{A_{1}}f_{1}\,d\mu +\int _{A_{2}}f_{2}\,d\mu \leq \nu (A_{1})+\nu (A_{2})=\nu (A)} が成り立ち、したがって max{ f 1,  f 2} ∈ F となる。 今 { fn } を、次を満たす F 内の函数列とする。 lim n → ∞ ∫ X f n d μ = sup f ∈ F ∫ X f d μ . {\displaystyle \lim _{n\to \infty }\int _{X}f_{n}\,d\mu =\sup _{f\in F}\int _{X}f\,d\mu .}  fn  をはじめの n 個の函数最大で置き直すことで、{ fn } は増加列であると仮定することが出来る。g を次で定義される函数とする。 g ( x ) := lim n → ∞ f n ( x ) . {\displaystyle g(x):=\lim _{n\to \infty }f_{n}(x).} ルベーグの単調収束定理より、各 A ∈ Σ に対してA g d μ = lim n → ∞ ∫ A f n d μ ≤ ν ( A ) {\displaystyle \int _{A}g\,d\mu =\lim _{n\to \infty }\int _{A}f_{n}\,d\mu \leq \nu (A)} が成り立ち、したがって g ∈ F となる。また、g の構成法より ∫ X g d μ = sup f ∈ F ∫ X f d μ {\displaystyle \int _{X}g\,d\mu =\sup _{f\in F}\int _{X}f\,d\mu } となる。g ∈ F であるため、 ν 0 ( A ) := ν ( A ) − ∫ A g d μ {\displaystyle \nu _{0}(A):=\nu (A)-\int _{A}g\,d\mu } は Σ 上の非負測度定義する。ν0 ≠ 0 を仮定する。このとき、μ は有限であるため、ν0(X) > ε μ(X)満たすようなある ε > 0 が存在する。(P, N) を符号付測度 ν0 − ε μ に対すハーン分解とする。すべての A ∈ Σ に対して ν0(A ∩ P) ≥ ε μ(A ∩ P) であり、したがって ν ( A ) = ∫ A g d μ + ν 0 ( A ) ≥ ∫ A g d μ + ν 0 ( A ∩ P ) ≥ ∫ A g d μ + ε μ ( A ∩ P ) = ∫ A ( g + ε 1 P ) d μ {\displaystyle {\begin{aligned}\nu (A)&=\int _{A}g\,d\mu +\nu _{0}(A)\\&\geq \int _{A}g\,d\mu +\nu _{0}(A\cap P)\\&\geq \int _{A}g\,d\mu +\varepsilon \mu (A\cap P)\\&=\int _{A}(g+\varepsilon 1_{P})\,d\mu \end{aligned}}} が成立することに注意されたい。また μ(P) > 0 であることに注意されたい実際、もし μ(P) = 0 であるなら、(ν は μ に関して絶対連続であるため)ν0(P) ≤ ν(P) = 0 であり、したがって ν0(P) = 0 および ν 0 ( X ) − ε μ ( X ) = ( ν 0 − ε μ ) ( N ) ≤ 0 , {\displaystyle \nu _{0}(X)-\varepsilon \mu (X)=(\nu _{0}-\varepsilon \mu )(N)\leq 0,} が成り立つが、これは ν0(X) > εμ(X)矛盾する。 したがって ∫ X ( g + ε 1 P ) d μ ≤ ν ( X ) < + ∞ {\displaystyle \int _{X}(g+\varepsilon 1_{P})\,d\mu \leq \nu (X)<+\infty } が成り立つことから、g + ε 1P ∈ F となり、 ∫ X ( g + ε 1 P ) d μ > ∫ X g d μ = sup f ∈ F ∫ X f d μ {\displaystyle \int _{X}(g+\varepsilon 1_{P})\,d\mu >\int _{X}g\,d\mu =\sup _{f\in F}\int _{X}f\,d\mu } が満たされる。しかしこれは矛盾であるため、元の仮定 ν0 ≠ 0 が偽ということになる。したがって目標としていた ν0 = 0得られる。 今 g は μ-可積分であるため、集合 {x ∈ X : g(x) = ∞} は μ-である。したがって、 f  を f ( x ) = { g ( x ) if  g ( x ) < ∞ 0 otherwise, {\displaystyle f(x)={\begin{cases}g(x)&{\text{if }}g(x)<\infty \\0&{\text{otherwise,}}\end{cases}}} のように定めれば、 f  は目標としていた性質を満たすものとなる。 一意性を示すために、 f, g : X → [0, ∞) を、すべての可測集合 A に対して次を満たす二つの函数とする。 ν ( A ) = ∫ A f d μ = ∫ A g d μ . {\displaystyle \nu (A)=\int _{A}f\,d\mu =\int _{A}g\,d\mu .} このとき、g − f  は μ-可積分であり、 ∫ A ( g − f ) d μ = 0 {\displaystyle \int _{A}(g-f)\,d\mu =0} となる。特に、A = {x ∈ X : f(x) > g(x)} あるいは {x ∈ X : f(x) < g(x)} に対して、次が成り立つ。 ∫ X ( g − f ) + d μ = 0 = ∫ X ( g − f ) − d μ . {\displaystyle \int _{X}(g-f)^{+}\,d\mu =0=\int _{X}(g-f)^{-}\,d\mu .} したがって (g − f )+ = 0 が μ に関して至る所成り立つ。同様のことが (g − f )− に対して成り立つため、 f  = g が μ に関して至る所成り立ち一意性示される

※この「有限測度の場合」の解説は、「ラドン=ニコディムの定理」の解説の一部です。
「有限測度の場合」を含む「ラドン=ニコディムの定理」の記事については、「ラドン=ニコディムの定理」の概要を参照ください。

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