有用性の議論
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/28 17:29 UTC 版)
エンゲル係数の高低は生活水準を表す指標となっているが、1世帯あたりの人数や人口に占める生産年齢の割合、価格体系、生活慣習の異なる社会集団の比較には不適当な場合もある。 経済学者の飯田泰之は日本では最も貧しい20%の人口は支出の約25%を食費に当て、最も豊かな20%は支出の22%ぐらいを食費に当てており、中間層の方が食費にあてる割合が高いと指摘している。 岐阜大学教授の大藪千穂は、高齢化や為替変動、食文化の変化など複雑な要因によってエンゲル係数が上昇しているので、上昇すなわち貧困ということにはならないとしつつも、低所得者層の生活の厳しさについての指標としては有用であるとしている。 ニッセイ基礎研究所の櫨浩一は、共働き世帯の増加は世帯所得が増えるため、中食による食費増はエンゲル係数の増加には大して影響していないと述べている。また、食品に対する公租公課が一律で増額された場合でその他の生活必需とされる物品や役務への公租公課が増やされなかった場合、社会全体のエンゲル係数は上昇することが多いとして、日本では2014年4月に消費税が5%から8%に増税となったが、食料品が増税となった一方で、医療費、学費、地代といった非課税品目も消費支出に含まれるため、相対的にエンゲル係数が上昇したとしているほか、高齢化に伴う無職世帯の増加が長期的なエンゲル係数の上昇に大きな影響を与えていると述べている。
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