日の入り (ブーシェの絵画)とは? わかりやすく解説

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日の入り (ブーシェの絵画)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/10/25 07:12 UTC 版)

 

『日の入り』
フランス語: Le Coucher du soleil
英語: The Setting of the Sun
作者 フランソワ・ブーシェ
製作年 1752年
種類 キャンバス上に油彩
寸法 318 cm × 261 cm (125 in × 103 in)
所蔵 ウォレス・コレクションロンドン

日の入り』は、(ひのいり、: Le Coucher du soleil, : The Setting of the Sun)は、18世紀フランスロココ期の巨匠フランソワ・ブーシェが1752年にキャンバス上に油彩で制作した絵画である。 対作品の『日の出』とともにポンパドゥール夫人の委嘱による作品で、ゴブラン織工場用の実物大下絵であった。これら2作にもとづくタピストリーは1754-1755年に制作され、ベルビュー城英語版にあったフランス国王ルイ15世の寝室に掛けられた。2作品はポンパドゥール夫人のコレクションとともに1766年4月28日に売却され、4つの個人コレクションを経た後、1855年4月20日に第4代ハートフォード侯爵リチャード・シーモア=コンウェイ英語版により購入された。作品は現在、侯爵のコレクションとともにロンドンウォレス・コレクションに所蔵されている[1]

作品

フランソワ・ブーシェ『日の出』(1752年)ウォレス・コレクション、ロンドン

ブーシェは、寓意象徴が織りなす、統一感のある対作品を創造している。本作『日の入り』では、太陽神アポロンが抑制されたピンク色、茶色、クリーム色で表現されている夕闇を伴い、ニンフテティスの腕に戻るところである。対作『日の出』中のテティスはアポロンの馬車の手綱を持ち、彼が場所を御するのを助けるが、『日の入り』では一日の仕事を終えた彼を出迎える[1]

『日の入り』と『日の出』の前景にはニンフやナイアードの裸体が溢れ、互いに折り重なりながら、波の形に繰り返されるアラベスク的な曲線を生み出している。空と海が連続する様子は、ブーシェの神話画の情景であることを明確に示している[1]。画面に登場する17人の神話上の人物のうち、8人は女性、3人は男性、6人は赤ん坊 (キューピッド) である。2頭の大きな馬も見える。本作と『日の出』に見られる調和のとれた色彩、美しい裸体像、薄のような質感は、ロココ美学の優美さを体現している。両作品の装飾的特質はタピストリーの原画としての役割によって高められ、制作されたタピストリーは豪華で洒落た邸宅を飾るのに役立ったことであろう[2]

『日の出』と『日没』は、1753年のサロン・ド・パリで展示された。ガブリエル・ド・サントーバン英語版によるエッチングでは、『日の出』は左側に、『日没』は右側に展示されている[1]。サロンの後にポンパドゥール夫人は両作品を手放さなかったが、タピストリーの原画はたいていゴブラン織工場に残されたので、これは異例のことであった[1]。両作品にアポロンを助けるニンフのテティスが登場するのは、テティスに対する賛辞であると解釈する美術史家もいる。絵画の依頼者であったポンパドゥール夫人は、(テティスのように) ルイ15世の宮廷で政治顧問としてより活動的な役割を得たばかりであった[1]。両作品は、ベルビュー城の一階の守衛室に掛けられた[1]

脚注

  1. ^ a b c d e f g The Setting of the Sun”. ウォレス・コレクション公式サイト (英語). 2025年10月25日閲覧。
  2. ^ François Boucher Most Important Art | the Art Story”. 2018年10月22日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年10月22日閲覧。

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