新童話集団
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/08 03:51 UTC 版)
花岡と創刊した『新童話集団』は、『TAN』と同様に謄写印刷の個人雑誌である。「創作の刺激を求めて雑誌発刊になったと考えられる」と向川は分析している。 しかし、号を重ねるにつれて、2人の児童文学観の相違が目立つようになる。童話が持つ特殊性と主題に対する考え方の相違は、第4輯までの互いの文章に浮き彫りになっている。童話を書く際にも小説を書く姿勢を持って書くことで、優れた作品が生まれると主張した花岡に対し、下畑はそのような姿勢によって形式的に小説らしい体裁をなした作品が書かれたとしても、健全な児童文学とは言えないと批判し、児童の経験者であり理解者である作者が、題材を整理したり系統づけたりすることで生まれた作品が児童文学であると主張した。その反論に対して花岡は、技術なしに文学することこそ滑稽だと下畑に反論した末に、第4輯を持って『新童話集団』から離れることになる。 第7輯で終刊となり、全体としては『TAN』と同様に習作の域に留まっているが、下畑が当時の世相を反映させて貧しい子供や出征を素直に喜べない人々を書き、表現よりも主題を重んじるようになった点に特色がある。
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