新左翼・マルクス主義からの独立と対立
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/11 20:44 UTC 版)
「ラディカル・フェミニズム」の記事における「新左翼・マルクス主義からの独立と対立」の解説
ラディカル・フェミニズムは、1960年代末にマルクス主義・既成左翼を甘いと批判した新左翼運動の内部で、社会革命が目的にも関わらず新左翼男性らに従来の補助的・性的役割を押し付けられた女性たちの失望から始まった。1970年に出版されたケイト・ミレットの『性の政治学』と、シュラミス・ファイアーストーンの『性の弁証法』を思想的支柱とする。ミレットは、「家父長制」を男性が女性に性的従属を強いるシステムであると定義し、これが私的領域から公的領域に至るまで影響を及ぼしていると批判。男女の性差は家父長制の産物であるとした。またファイアーストーンは、女性の生殖能力も男性優位を前提とした階層構造を発展・維持させている要因であると論じた。更にマルクス主義フェミニズムはマルクス主義の史的唯物論にラディカル・フェミニズムを取り入れたことで生まれた。しかし、マルクス主義フェミニズムはラディカル・フェミニズムを「観念論」と見なし、「市場」と「家族」の相互依存関係も問うべきと批判している。更には新左翼・マルクス主義フェミニズム派が資本主義社会・企業のために女性を含めた労働者階級は抑圧されていると主張すると、ラディカルフェミニズム派はマルクス主義の男性中心主義を指摘・男性からの抑圧は資本主義社会だけではなく、マルクス主義で用いる階級分析論だと女性こそが抑圧された階級と位置づけ対立した。日本では1990年代に行われたマルクス主義フェミニストの上野千鶴子とラディカル・フェミニストの江原由美子による論争が知られている。
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