文学での扱い
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/04/20 23:30 UTC 版)
園芸種のパンジーが市場に出回る以前、またの名をパンジーとされた本種は、しばしばその花言葉(フランス語のパンセ "pensee" 物思い)と関連付けられた。ゆえにウィリアム・シェイクスピアのハムレットに登場するオフィーリアが口にする台詞 "There's pansies, that's for thoughts" (これはパンジー、物思いの徴)のパンジーについて、シェイクスピアの念頭には園芸種ではなく本種があった。 シェイクスピアは、戯曲夏の夜の夢の作中にて、さらに重要な役割をサンシキスミレに担わせている。妖精の王オベロンは、乙女らが"love-in-idleness"「徒なる恋」と呼ぶ「西方に咲く小さな花」を手下の妖精パックに集めるために遣わす。「西の玉座に君臨する美しき処女(おそらくはエリザベス1世のこと)」を狙い、キューピッドの弓から放たれた矢はオベロンの計略によりそらされ「それまでは乳白色だったが、矢から受けた恋の傷で今では深紫に変わってしまった花」を持つ植物に落された。「帝権に魅入られし婦人」は、「恋を知らぬまま」、決して恋に陥ることのない運命を定められる一方で,「恋煩いの花」の絞り汁は、いまやオベロンの意図のまま「眠りについた者のまぶたに塗られたら、目覚めて初めて見たそれが、男であれ女であれ、激しく溺愛する」媚薬と化す。この魔力を備えたオベロンとパックは、シェイクスピア劇にはつきものの派手さと滑稽さの演出を引き立たせ、劇中に登場する様々な人物の運命を動かす。
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