改竄疑惑
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/07 20:41 UTC 版)
「きけ わだつみのこえ」の記事における「改竄疑惑」の解説
上記に付随して、一部からは手記の内容を編集方針に沿うような形でに不当に改竄しているという批判がある[要出典]。実際に採録されたものの中には編集された内容のものもあり、例えば佐々木八郎のエッセイ「“愛”と“戦”と“死”」には「しかし僕の気持はもっとヒューマニスティックなもの,宮沢賢治の烏と同じようなものなのだ。憎まないでいいものを憎みたくない、そんな気持なのだ。正直な所、軍の指導者たちの言う事は単なる民衆煽動の為の空念仏としてしか響かないのだ。」と書かれているが、「軍指導者たちの言う事」という部分は原遺稿では「暴米暴英撃滅とか,十億の民の解放とか言う事」となっていた。また高木孜の手記については、謄写稿で「ソ連兵来るの噂とぶ。ゲーペーウー潜入,駆逐艦興南入港の噂入る。」となっていた点が筆写稿では「ゲーペーウー潜入」の部分が赤線で削除され、そのまま出版された。どちらの内容も新版でも訂正されずにそのままとなっており、法政大学名誉教授の岡田裕之はこれについて編集者を批判している。 ただしどちらの手記も元々『はるかなる山河に』で採録されていたものであり、当時はGHQ(連合国軍最高司令官総司令部)の占領下検閲が行われていたため、このような表現の変更が行われた経緯がある。岡田はそれを検閲がなくなった新版になっても訂正していない点について批判しているのであり、一部で問題とされる「編集方針に沿わない文章の改竄」つまり手記の意味している内容自体を変えてしまうような改竄はなかったと主張している。
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