拘束系
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/13 08:32 UTC 版)
拘束条件が課された系にラグランジュ形式を用いる際に、一般座標を適当に選ぶことによって、拘束条件が常に満たされるようにすることができる。上で挙げた振り子の例であれば、座標変数に角度を選ぶことによって長さが一定という拘束条件が常に満たされるようにしている。これの手法とは別に、ラグランジュの未定乗数法を用いて作用汎関数(ラグランジュ関数)に拘束条件を取り入れる方法がある。 一般化座標 q に対して、拘束条件 Φ ( q , t ) = 0 {\displaystyle \varPhi (q,t)=0} が課されている場合を考える。このとき、作用は S b [ q , β ] = S [ q ] + ∫ t I t F β ( t ) Φ ( q , t ) d t {\displaystyle S_{\text{b}}[q,\beta ]=S[q]+\int _{t_{\text{I}}}^{t_{\text{F}}}\beta (t)\,\varPhi (q,t)\,dt} によって拘束条件が取り入れられる。ここで導入された β(t) がラグランジュの未定乗数である。拘束条件は全ての時間で成り立つので、未定乗数も各々の時間に対して導入される時間の関数である。 拘束条件が取り入れられた作用に対して最小作用の原理を適用して δ S b [ q , β ] δ q i ( t ) = ∂ L ∂ q i + β ( t ) ∂ Φ ∂ q i − d d t ∂ L ∂ q ˙ i = 0 {\displaystyle {\frac {\delta S_{\text{b}}[q,\beta ]}{\delta q_{i}(t)}}={\frac {\partial L}{\partial q_{i}}}+\beta (t){\frac {\partial \varPhi }{\partial q_{i}}}-{\frac {d}{dt}}{\frac {\partial L}{\partial {\dot {q}}_{i}}}=0} δ S b [ q , β ] δ β ( t ) = Φ ( q , t ) = 0 {\displaystyle {\frac {\delta S_{\text{b}}[q,\beta ]}{\delta \beta (t)}}=\varPhi (q,t)=0} が得られる。力学変数 q に対応する運動方程式には「拘束力」β(∂Φ/∂q) が加えられ、未定乗数に対応する運動方程式として拘束条件が導かれる。
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