扱われた問題の範囲
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/20 04:34 UTC 版)
「イブン・ハイサム」の記事における「扱われた問題の範囲」の解説
『光学の書』で扱われた題材は、概ね古代の光学(幾何学的な視覚論、視学)の範囲を超えない。実際、眼の構造論を除けば、プトレマイオス『光学』と構成を含め、大きく重なる。反射や屈折の問題に於いても、最後は視覚への影響が問題とされる。 それら以外の問題、例えば鏡やレンズによる集光、そして、アリストテレス『気象論』以来、主に気象論の対象だった虹、暈について、各々論考を著している。なお、日の出前の薄明や日没後の薄暮から大気の高さを推測した書『Liber de crepusculis』は彼の名でラテン世界に流通し、今でもイブン・ハイサムに帰する記述があるが、これは12世紀のスペインのイスラム圏の天文学者・数学者 Ibn Muʿādh al-Jayyānī(en:Ibn Muʿādh al-Jayyānī)の著作である。 このように、イブン・ハイサムの研究はそれまで別個に扱われてきた光や視覚に拘わる様々なテーマを網羅しており、単なる視覚論から脱却した新たな光学の出発を予感させる。一方、古代の「光学」に属しないテーマは、一部の例外(光の性質を扱う第一巻三章など)を除いて、『光学の書』以外の著作でカバーしていることは注意すべきである。
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