打撃妨害の多い打者
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/01/05 07:10 UTC 版)
日本プロ野球の中日ドラゴンズでプレーした中利夫は、打撃妨害を受けることの多い選手として知られた。低いコースの投球には体を伸ばし、高いコースの投球には体を縮めてボールカウントを稼ぐ「ちょうちん打法」を得意としていた。それを防ぐため、捕手は打者に近い位置で捕球することを考えた結果、ミットとバットが接触し、打撃妨害になることが多かった。なお、中の通算記録は21回でNPB史上最多である。 打撃妨害は打者のバットと捕手のミットの接触により記録される性質上、日米共に特定の打者に集中して発生しやすい傾向があるとされる。MLB史上最多安打のピート・ローズ(通算29回、MLB史上2位)、NPB史上最多安打の張本勲(通算10回、NPB史上7位タイ)のように、日米共に通算打数よりも安打や出塁が多い打者ほど打撃妨害が多くなる傾向がある事も、同時に指摘されている。 NPBでは通算2000本安打以上の打者のうち、通算打席史上最多の11970打席に立った野村克也、2位の王貞治(11866打席)は生涯一度も打撃妨害を記録していないが、3位の張本(11122打席)、10傑圏外の山内一弘(8898打席)はそれぞれ通算10回記録している。広尾晃によると、NPBにおける打撃妨害上位10傑のいずれも、三振が少なくバットコントロールが上手いとされる巧打者である傾向があると述べており、MLB移籍後に合計10回の打撃妨害を記録した松井秀喜の談話を根拠とする形で、打撃妨害は「野球を熟知した打者の奥の手」という説を提示している。広尾はまた、打撃妨害はシーズン記録では特定選手の特定シーズンに突如集中して発生しやすい傾向がある事にも言及しており、史上1位の1960年小玉明利(シーズン6回)、史上5位の2009年栗原健太(同4回)など、明確に「曲者の打者」と認知されている者が多い事を指摘している。 ジョー・ジラルディによると、米国ではジャコビー・エルズベリー(通算31回、2018年時点でMLB史上最多)、カール・クロフォード(通算17回、同5位)、ジョシュ・レディック(通算15回、同9位)らのように「打撃妨害で悪名高い」と明確に認識される打者が存在しているとされる。ジラルディの経験上、打撃妨害は投球が大きく外れたボールゾーンからストライクゾーンに飛び込んでくるような変化球で特に発生しやすく、バットを長く持ってスイングのタイミングを遅らせ気味に振る打者、ファウルチップの捕球やストライクの判定を有利に取る事を狙いすぎてミットをストライクゾーンに突っ込ませるように捕球しがちな捕手の組み合わせでも発生しやすいとしている。
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