手塚治虫とのエピソード
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/14 00:12 UTC 版)
「ジュン (漫画)」の記事における「手塚治虫とのエピソード」の解説
ジュンは手塚治虫が刊行した雑誌で連載され、連載のメンバーに石ノ森を選んだのも手塚治虫であった。石ノ森は手塚の原稿を手伝うなど現代におけるアシスタント行為もたびたび行っていた。手塚治虫は漫画界の第一人者と称され、ひそかに自分以外の作家の長所を研究し、取り入れることで創作意欲をかき立てていたが、その一方で自分以外の作品が賞賛されることに対して感情を露わにすることがあった。石ノ森の自著には以下のようなエピソードが記されている。 ある日、『JUN』のファンだという人が僕のところへ手紙をくれた。「手塚さんが『JUN』をあんなものマンガじゃありませんと中傷していますよ。すごくショックでした」と書いてある。手塚さん直筆の手紙も同封されている。その人はもともと手塚ファン、『COM』ファンで、手塚さんにファンレターを出したらしい。その中で、『JUN』が好きだと書いた。そうしたら手塚さんから返事が来たのだが、そこにくだんの中傷が書いてあって、それをご丁寧に僕のところへ送ってくれたというわけだ。 また、小学館の編集者だった中村一彦の証言によれば、中村とともに手塚番として詰めていたある編集者が本作の一コマを気に入り「まるでモーツァルトの音楽のようだ」と賞賛したところ、これを聞いた手塚が「何がモーツァルトの音楽みたいだ、セリフのないまんがなんか、まんがではない、あんなのまんがじゃない」と激高し、即刻『COM』編集部へ電話をかけて編集長に対し本作の連載中止を命令したこともあった。 手塚の嫉妬心にショックを受けた石ノ森は、『COM』編集部に連載の打ち切りを切り出したところ、手塚は石ノ森の下を訪れて「自分でもどうしてあんなことをしたのかわからない、自分で自分がイヤになる」と謝罪した。手塚と石ノ森は和解し、連載は完結まで続いた。 「24時間テレビ41「愛は地球を救う」」内で放送された単発ドラマ『ヒーローを作った男 石ノ森章太郎物語』で、この一件がエピソードの1つとして放送された。
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