房中術と内丹術
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/17 20:44 UTC 版)
唐代以降、行気や存思などの道教の養生術から、従来の煉丹術である外丹術とは異なる内丹術という修行法が発達したが、これと房中術の還精補脳の技法との関連性を指摘する研究者もいる。房中術は陰丹とも呼ばれた。 後代の内丹法は、清修派と双修派の丹法に大別される。「禁欲的」で一人で行う単修法が「清修派」で、中国の修行者のほとんどはこの丹法である。そして「房中術」を取り入れたのが、男女の二人で修行する「双修派」の丹法である。双修派の丹法は、その接触形態から二つに分かれる。男女が「肉体的」に交接することで気を循環させる「体交法」と、肉体の交接をせず「神(意識)」のみで行う「神交法」である。 「体交法」は、「肉体的」交接により気のやりとりを行い、気の循環を図る。気のやりとりの無いものは通常の性的行為であり、内丹法としての房中術ではないとされる。体交法は、交接により男女の「双方」で気のやりとりを行うが、効果を出すためには双方ともみだりに精を漏らしてはならないとする。他に、男女の片方が一方的に気を奪い取る「玉女採戦」があるが、奪われる側は体をひどく損ねるとされ問題視された。 「神交法」は、隔体神交法とも呼び、肉体での交わりはせずに離れた所から互いに「神(意識)」だけで気のやりとりを行う。要点は、男は衣をゆるめず、女は帯をとかず「男不寛衣、女不解帯」。神明のごとく敬い、父母のごとく愛せ「敬如神明、愛如父母」。つまり、厳粛実直の気持ちで、相手に対し父母に対するがごとく淫念を持たず愛し、相手から離れて静かに向かい合って意識で気を交わらせる、とされ体交法よりも効果が高いという。 歴史的に、金代の王重陽に始まる北宗は、禁欲を説く清修派の丹法である。北宋の張伯端に始まる南宗は、清修派を主流とし双修派神交法の系統もある。明清代の双修派の丹法は陸西星の東派、李西月の西派が代表的であり、神交法である。その他に、男性のみが一方的に女性の気で自らを補う単修法の房中術もある。この玉女採戦の技法は三峯採戦の術とも呼ばれた房中術の方法と結びつけられ、三峯派と称される。三峯派の開祖は張三峯とされるが、太極拳の創始者に仮託された張三丰とは別人だという。
※この「房中術と内丹術」の解説は、「房中術」の解説の一部です。
「房中術と内丹術」を含む「房中術」の記事については、「房中術」の概要を参照ください。
- 房中術と内丹術のページへのリンク