成層圏と上層雲
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/13 16:03 UTC 版)
「オシリス (惑星)」の記事における「成層圏と上層雲」の解説
HS 209458 b の大気は、惑星の中心から1.29木星半径の高度で 1 バール (100 キロパスカル) になる。 大気の圧力が 33 ± 5 ミリバールになる高度で大気は透明になり (大気成分はおそらく水素)、この高度でレイリー散乱の影響が検出可能になる。この気圧の高度での温度は 2200 ± 260 K である。 宇宙望遠鏡の MOST を用いた観測から、当初は惑星のアルベド (もしくは反射率) は 0.3 以下であると制限が付けられており、驚くほど暗い天体であることが示された。これを元にした幾何アルベドは 0.038 ± 0.045 と測定されている。比較として、木星は 0.52 というずっと高いアルベドを持つ。このことは、この惑星の雲層の上部は木星よりも反射率の低い物質で出来ているか、もしくは高層大気には雲が存在せず、入射光は地球の暗い海のようにレイリー散乱を受けているかのどちらかである可能性があることを示唆している。その後の理論モデルでは、大気の最上部と、マントル部を取り囲む高温・高圧のガスの間には、より低温な成層圏が存在することが示された。このことは、惑星大気の外層に、暗く光学的に厚い高温な雲が存在することを示唆する。この雲は、赤色矮星の大気中に見られるような酸化チタン (TiO) や酸化バナジウム (VO) からなると一般的には考えられているが、ソリンなどの別の化合物である可能性も否定できない。2016年の研究では、大気高層にある雲は惑星を部分的に覆っており、被覆率はおよそ 57% であると示唆されている。レイリー散乱を起こす高温の水素は成層圏の最上部にあり、吸収を起こす雲層はその上空の 25 ミリバールの高度に浮かんでいる。
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