慢性GVHDと治療
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/29 13:51 UTC 版)
「造血幹細胞移植」の記事における「慢性GVHDと治療」の解説
移植後100日以降に発症したGVHDを慢性GVHDという。発症時期によって区別されているが、急性GVHDとは異なる病態が考えられている。急性GVHDと比較してより多くの臓器を障害を受けること、しばしば自己免疫疾患に類似した病態となるのが特徴である。肝障害や間質性肺炎、皮膚のこわばり、口腔病変などが典型的であるが多様である(全身倦怠、関節痛、白内障、性器粘膜炎、筋肉炎、血液再生不全など)。急性GVHDは移植片中の成熟T細胞が関与するのに対して、慢性GVHDは移植された造血幹細胞から分化、成熟したT細胞が関与すると考えられている。 限局した軽い症状のみの慢性GVHDはステロイド外用などの局所療法で対応可能であるが、多くの臓器に障害が生じている場合や単一臓器でも重篤な障害を有する場合は全身的免疫抑制療法の適応となる。 慢性GVHDにもGVL効果はあるといわれている。慢性GVHDになったからといってステロイドや免疫抑制剤を一生続けなければいけないとは限らないが、GVHDの根治につながるかは不明である(発症の予防としては効果がない可能性が高い)。様々な症状に対して、これらの薬剤では効果が不十分、もしくは効果がない場合も多い。また、効果があっても長期間の服薬が必要になる場合も多く、副作用に鑑み治療継続できない場合もある。
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