心的状態の本性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/01/08 08:20 UTC 版)
「ジェリー・フォーダー」の記事における「心的状態の本性」の解説
『命題的態度』(1978年)という著作で、フォーダーは、心的状態(mental states)とは、個体と心的表象(mental representations)との関係である、という鍵になるアイデアを導入した。長い間に彼の立場は多く部分で変化したにもかかわらず、志向性とは関係であるというアイデアは、元になった定式化から現在に至るまで変化していない。 この本でのフォーダーの課題は、心的状態のもつ「関係的」という本性を説明するためには心的表象(とりわけ、思考の言語における文)が必要だということを示すことにあった。フォーダーはその他の説明仮説として二つの代案を提示する。一つ目は心的状態が関係的性格を持つということを完全に否定する仮説。二つ目は心的状態を二項関係と考える仮説。後者はこの関係を何の間の関係と見るかによってさらに分割される。つまり、個体と自然言語の文との間の関係だと見るカルナップ的見解 と、個体と自然言語の文によって表現される命題との間の関係だと見るフレーゲ的見解である。これらに対してフォーダー自身の見解は、思考的態度の本性を適切に説明するためには三項関係を用いることが必要だというもの。つまり個体、表象、命題的内容の三項である。こういった三項関係に対する精神状態を考慮することで、典型的な実在論によって、この問題を解決するために重要な要素をすべてまとめておくことが可能になる。さらに、心的表象は単に信念や欲望の対象であるだけではなく、そこで心的プロセスが働く領域でもある。心的表象は心の内容の統語的観念と機能的構造の計算機的観念との理想的な連合である。これらの観念は、フォーダーによれば、心的プロセスの説明としては最良のものである。
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