心理学的考察
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/06 06:09 UTC 版)
スイスの心理学者カール・グスタフ・ユングを筆頭に、世界の神話には背景に心理学的なものがあるという考えを置いた理解も進んだ。ユングは、すべての人間は生まれながらの心理的な力(psychological force)を無意識に共有する(集合的無意識)と主張し、これを「元型」(archetypes)と名づけた。彼は、異文化間の神話に見られる類似性から、このような普遍的な原型が存在することを明らかにできると考え、この元型が表現された一つの形態が神話だと論じた。 ジョーゼフ・キャンベルは、人間心理を洞察した中で、人の生き方に応用できるものを神話から得られると主張した。例えば、キャンベルが主張するところによると神話第一の機能は「神秘な存在に対する畏敬の念を想起させ支持させる」ことにあり、さらに「各個人に自己の精神を現実的に秩序づけるよう導く」ことに役立つと言及した。 ユングやキャンベル同様、クロード・レヴィ=ストロースも神話は心の有り様を反映したものだと唱えた。ただし彼は、この有り様とは無意識や衝動ではなく明確な精神機構、特に対立する神話素(英語版)の組み合わせである二項対立があると考えた。 ミルチャ・エリアーデは『神話と夢想と秘儀』や『The Myth of the Eternal Return』の付記に、現代人が感じる不安は神話や神聖なるものの拒絶に帰すると論じた。
※この「心理学的考察」の解説は、「神話」の解説の一部です。
「心理学的考察」を含む「神話」の記事については、「神話」の概要を参照ください。
- 心理学的考察のページへのリンク