御霊移しと御絹垣
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/09 01:37 UTC 版)
本殿祭が終わると、神輿に浅間神社と諏訪神社の分霊を移す御霊移しの儀式が始まる。御霊(みたま)とは祭神の御神体の分霊をのことであり、御霊代(みたましろ)とも呼ぶ。浅間神社と神輿が置かれた境内社である諏訪神社(摂社)とは、境内を介して約150メートルほど離れており、浅間神社から神輿のある諏訪神社へと御霊を持った宮司が移動するのが御霊移しの儀式である。御霊移しが始まる午後4時頃になると、境内一帯は大勢の参詣者や見学者らで埋め尽くされている。14名の世話人と12名の消防団員は両社を結ぶ境内中央部に一列に並んで、一般参詣者らを入れないようにして御霊の通り道を明ける。 社殿内と境内の照明や電気はすべて消され、薄暗くなった浅間神社拝殿奥から神職による「オーッ」という警蹕(けいひつ)の低い声が響き渡ると、純白の布で覆われた御絹垣(おきぬがき)が拝殿内から現れる。御絹垣は6本の支柱の間に大きな白布を張り、御霊を持つ宮司を四方から囲んで隠した幕であり、6名の神職によって持ち抱えられている。神聖な御神体は人目にさらしてはならず、このように幕で隠しながら諏訪神社へ運ばれる。御絹垣の前には道楽・賛者の2名が先導を行い、後側には典儀・賛者と、護衛の御師団が続く。御絹垣の中には宮司と露払い役の行障(こうしょう)の2名のみがおり、宮司は袖の中に御神体(御霊)を抱えながら、神職らの発する警蹕の声に導かれながらゆっくりと進む。参詣者らは低頭して道を明け、光を浴びせたり写真を撮ることは禁忌とされる。御絹垣は諏訪神社に着くと拝殿上にのぼり、そのまま本殿内に納めて安置する。こうして御霊移しが済むと御絹垣は取り払われ、境内の電灯も再び灯され、間を空けずただちに諏訪神社祭が開始される。
※この「御霊移しと御絹垣」の解説は、「吉田の火祭」の解説の一部です。
「御霊移しと御絹垣」を含む「吉田の火祭」の記事については、「吉田の火祭」の概要を参照ください。
- 御霊移しと御絹垣のページへのリンク