後世の批評
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/21 14:16 UTC 版)
佐藤一郎も郁達夫の作品について、「郁達夫はきわめて特異で貴重な存在だった。彼は感傷と頽廃という作品の性格を活かし人間の弱さを追求して、世間の偽善家族達に突きつけたと語る一方、郁の文学は政治的世界に適応できなかった小市民文学である」と述べている。阿部幸夫も、「『沈淪』から『出奔』まで一貫して暗い中国社会への叛逆、祖国愛の限りなき熱情を秘めた叛逆を胸に抱いていた。惜しいことは、彼は問題を「人の善意」のみで解決しようとしたことだ。だから郁達夫は最後までこの暗い現実をどう吹き飛ばしたらいいのか見当もつかず、出口を求めて放浪を続けねばならなかったのである」と述べた。 この二人の批評から見ることが出来るのは、「背徳の文学」が禁忌であるかどうかよりも左翼文学者としての郁達夫の文学を通して批判していることだからである。
※この「後世の批評」の解説は、「郁達夫」の解説の一部です。
「後世の批評」を含む「郁達夫」の記事については、「郁達夫」の概要を参照ください。
- 後世の批評のページへのリンク