形態の相同性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/28 12:36 UTC 版)
系統発生(進化)と個体発生において、生物の持つある構造が共通の祖先から生じた場合、相同性があるまたは相同であるといい、そのような器官を相同器官という。例えば、コウモリの翼とヒトの腕が共通祖先の前肢から生じた相同な構造であり、発生においては女性の卵巣と男性の精巣が共通の細胞群に由来する相同な器官である。 共通祖先を持たない類似性は相似性と呼ばれ、相同性とは区別される。例えば、昆虫の翅とコウモリの翼は形態的・機能的には類似しているが進化的には異なる由来を持つため相同ではない(昆虫の羽は鰓起源と側背板起源の2つの仮説があり、コウモリの羽は前肢起源)。このような器官を相似器官という。これらの相似的な構造は異なる経路で進化した。異なる由来の器官が同じ機能を持つように進化することを収斂進化と呼ぶ。 このような相同性の概念は比較解剖学から産まれたものである。18世紀のこの分野の進歩は、様々な生物の構造を明らかにすることで、それらの間に共通するパターンがあることを見いだした。ゲーテは植物の構造を詳しく調べ、その多くは葉の変形であることを見いだし、普通の葉の形から花弁などの異なった形への変形を変態と呼んだ。
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