小田原急行鉄道51形電車とは? わかりやすく解説

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小田原急行鉄道51形電車

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/09/25 07:45 UTC 版)

小田原急行鉄道51形電車
モハ52(1938年12月26日)
主要諸元
編成 1両
軌間 1,067 mm
電気方式 直流1,500V
架空電車線方式
車体長 16,240 mm
車体幅 2,700 mm
車体 木造
駆動方式 吊り掛け駆動方式
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小田原急行鉄道51形電車(おだわらきゅうこうてつどう51がたでんしゃ)は、小田急電鉄の前身である小田原急行鉄道と東京急行電鉄大東急)で使用されていた電車である。小田急の旅客車両の歴史上で唯一、木造車体を有する車両である[1]

本項では、以下単に「小田急」と表記した場合は小田原急行鉄道をさすものとする。また、本項では小田急に入線後から東急合併後、相模鉄道(相鉄)に譲渡されるまでについて記述する。

登場の経緯

開業当初の小田急は、初期投資の過大[2]昭和初期の不況の影響[2]もあり、経営は苦しい状態で、従業員の昇給がなく株式配当も無配の状態が6年続く[2]有様であった。

1930年代後半になると、沿線にの施設が設けられたこともあり[3]、輸送需要は上向きとなったものの、まだ新車を製造するだけの余裕はなかった[3]。このため、1938年鉄道省に車両払い下げの申請を行なった結果、モハ1形(旧デハ33500形)3両の払い下げを受けられることになり、入線した車両である。

沿革

鉄道省の大井工場で両運転台に改造の上[3]入線し、単行運転から3両編成で運用された。

しかし、木造車体が弛みがち[4]で、また制御機器関係の故障が多く[5]ダイヤを乱すことが多かった[3]ことから、乗務員からは「ギャング」と呼ばれ敬遠されていた[5]

1941年には全室運転台から半室運転台への改造が行なわれたが、同時に窓の下に鉄枠で補強を行い、さらにその外側に鋼板を張るという簡易鋼体化が行なわれた[5]1942年には東急に合併されたことから形式がデハ1100形に変更され、全車両が改番された。改番後の車両番号は、元番号に1050を加えたもので、例えばモハ51であればデハ1101となった。

1943年6月、大井町線二子玉川園から溝ノ口まで延伸されたことに伴い、デハ1101・デハ1102は目蒲線へ、デハ1103は大井町線へ転属した。転属先の線区は架線電圧小田原線直流1,500Vと異なり直流600Vであったため、降圧改造を行なった[5]。1944年には東急が経営を受託していた相鉄厚木線電化に伴い、まず横浜二俣川の間(直流600Vで電化されていた区間)で使用された。1945年5月にデハ1103が空襲で焼損し休車となったが、残りの2両は同年には直流1,500Vへの昇圧改造が行なわれ[5]、かつて東横線で使用されたキハ1形ガソリンカーを改造したクハ1110形と連結して運用されていた[6]

1947年5月末で、相鉄の経営委託が解除されたのちに、3両とも正式に相鉄に譲渡された[7][注釈 1]。相鉄では2000系に編入したが、うち2両は鋼体化された。

車両一覧

  • 鉄道省デハ33515 → モハ1039 → 小田急モハ51 → 東急デハ1101 → 相鉄モハ2001
  • 鉄道省デハ33516 → モハ1040 → 小田急モハ52 → 東急デハ1102 → 相鉄モハ2002
  • 鉄道省デハ33525 → モハ1049 → 小田急モハ53 → 東急デハ1103 → 相鉄モハ2003

脚注

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注釈

  1. ^ 譲渡された時期については、経営委託が解除された1947年5月とする文献(『鉄道ピクトリアル』通巻672号 p.155)と、しばらくは東急より借り入れていたという文献(『Romance Car No.4』)が存在する。

出典

参考文献

書籍

雑誌記事

  • 生方良雄「私鉄車両めぐり37 小田急電鉄」『鉄道ピクトリアル アーカイブスセレクション』第1号、電気車研究会、2002年9月、 42-71頁。
  • 柴田重利「相鉄の復興に貢献した旧型国電 2000・3000系ものがたり」『鉄道ピクトリアル』第672号、電気車研究会、1999年7月、 154-160頁。
  • 中川浩一「昭和20年代中期の相模鉄道」『鉄道ピクトリアル』第672号、電気車研究会、1999年7月、 149-153頁。
  • 山岸庸次郎「小田急電車 進歩のあと」『鉄道ピクトリアル アーカイブスセレクション』第2号、電気車研究会、2002年12月、 46-58頁。

関連項目





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