実施協定における開発制度
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/09 08:36 UTC 版)
「法的深海底」の記事における「実施協定における開発制度」の解説
国連海洋法条約第11部実施協定では、先進国が不満を示していた諸点が改められ、同実施協定と国連海洋法条約が抵触するときは実施協定が優先されることとされた。国連海洋法条約と「先行投資者保護決議」においては、前述の通り「登録された先行投資者」は「未登録の先行投資者」と比較して鉱区の申請に際して有利な待遇がなされることが規定されていたが、実施協定では両者の申請は平等に扱われることが規定された。また条約では、申請者が一般市場で入手不可能な開発技術を有する場合は「事業体」に対しその開発技術を提供することが義務付けられており、これに対してはアメリカをはじめとした先進各国は市場原理に反するとして強く反発したが、実施協定ではこうした強制的な技術移転に関する条約の規定は適用されないことが定められた。陸上生産国の保護を目的とした生産制限に関する制度も実施協定では大幅に改められ、鉱物が深海底産出であるか否かについて差別をしないことが規定されたほか、深海底産出の鉱物の商業利用はGATTの規定に基づく市場経済の原理に従うこととされた。開発者に年間100万ドルを国際海底機構に支払うことを義務付けるなど、開発者に対して国連海洋法条約は多額の負担を強いていたが、金額を減額するなど開発者の財政的負担は大幅に軽減された。
※この「実施協定における開発制度」の解説は、「法的深海底」の解説の一部です。
「実施協定における開発制度」を含む「法的深海底」の記事については、「法的深海底」の概要を参照ください。
- 実施協定における開発制度のページへのリンク