安定化の要点
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/07/14 01:15 UTC 版)
倒立振子を安定化するための要点は定性的に三つのステップにまとめることができる。 もし傾き角 θ が右向きならば台車は右に加速する必要があり、逆もまたなりたつ。 軌条中心からの相対台車位置 x を安定させるには、ヌル角度(制御系がゼロにしようとする角度誤差)を位置で変調すればよい。具体的にはヌル角度を θ + kx とする。ただし、k は小さくとる。これにより、台車が軌条中心から外れているなら棒は中心に向けてわずかに傾こうとするので、台車は中心向きに加速する。軌条中心では棒が鉛直に立つことで安定となる。傾きセンサのオフセットや軌条の傾きなどの不安定要素は安定位置のオフセットとして表われる。さらにオフセットを追加すると位置制御ができる。 クレーンで荷を運ぶときのように、運動する支点に吊り下げられた非倒立振子の応答には振り子の角振動数 ωp = √g/ℓ にピークがある。制御不能な振動を防ぐため、ωp に近い支点運動の周波数スペクトルを抑制する必要がある。倒立振子でも、安定化のために同じようなフィルタが必要となる。 ヌル角度変調戦略の結果として、位置フィードバックは正のフィードバックとなり、突然右に動くよう指令すると台車はまず左へ動いてから右へ傾いた振り子を再び平衡にするため右へと移動する。倒立振子の不安定性と、正の位置フィードバックによる不安定性との相互作用により系は安定となっており、これを数学的に解析することは興味深く奥の深い問題となっている。
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