安定及び一過性トランスフェクション
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/27 20:45 UTC 版)
「トランスフェクション」の記事における「安定及び一過性トランスフェクション」の解説
安定トランスフェクションと一過性トランスフェクションでは、細胞に対する長期的な影響が異なる。安定トランスフェクションでは、細胞は導入されたDNAを継続的に発現し娘細胞に受け渡すが、一過性トランスフェクションでは、細胞は導入されたDNAを短時間発現し娘細胞に受け渡さない。トランスフェクションの用途によっては、導入された遺伝物質が一時的に発現すれば十分である。通常トランスフェクションプロセスにより導入されたDNAは核のゲノムに組み込まれないため、外来DNAは、有糸分裂によって希釈されるか分解される。エプスタイン・バール・ウイルス(EBV)由来核抗原1(EBNA1)またはSV40 Large-T抗原を発現する細胞株は、ウイルスEBV(293E)またはSV40(293T)複製起点を含むプラスミドのエピソーム増幅を可能にし、希釈の速度を大幅に低下させる。導入された遺伝子を実際に細胞及びその娘細胞のゲノムに残したい場合は、安定トランスフェクションが実施なければならない。そのために、特定の毒素に対する耐性など細胞に選択可能な利点を与える、マーカー遺伝子が同時に導入される。トランスフェクトされた細胞のいくつか(ごく少数)は、偶然に外来遺伝物質をゲノムに組み込んでいる。 その後、毒素を細胞培養に添加すると、ゲノムにマーカー遺伝子が組み込まれた少数の細胞のみが増殖でき、他の細胞は死滅する。この選択的ストレス(選択圧)をしばらくかけた後、安定したトランスフェクションを行った細胞のみが残り、さらに培養することができる。安定トランスフェクションに使用される試薬は以下の通り。 G418、ネオマイシン耐性遺伝子の生産物により中和 ピューロマイシン フレオマイシンD1 ハイグロマイシンB ブラストサイジンS
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