宇宙項
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/12/02 17:11 UTC 版)
「アインシュタイン方程式」の記事における「宇宙項」の解説
アインシュタインの1916年のオリジナル論文には含まれておらず、アインシュタイン方程式は Gμν = κTμν の形で書かれていた。アインシュタインは、1917年の論文で方程式に「宇宙項」を加えて Gμν + Λgμν = κTμν の形に書き換えた。Λ は宇宙定数を表す。宇宙項は、正負の符号によっては、重力に対する反重力(万有斥力)として機能する。 アインシュタインがこの項を導入した理由については諸説あるが、一般に有名なのは、彼自身が信じる静止宇宙モデルを実現するためという説である。1917年論文の宇宙モデルは重力と宇宙項による反重力とが釣り合う静止宇宙だった。当時、宇宙膨張は発見されていなかった。しかしこのモデルは不安定であり、僅かな摂動で膨張または収縮に転じる(静止宇宙とならない)性質を持つことが後にアレクサンドル・フリードマンにより示された。 1929年にハッブルが宇宙の膨張を観測的に示した後、1931年にはアインシュタイン自身により「人生最大の過ち」として消去された。しかしながら、近年の宇宙のインフレーション理論や素粒子物理学との関連の中で、宇宙項(に相当する斥力)を再び導入して考えることが通常行われており、むしろ重要な意味を与えている場合がある。観測的宇宙論において、宇宙膨張を加速させている謎のエネルギーとして、ダークエネルギーが提案されている。ダークエネルギーは方程式上では宇宙項である。 詳細は「一般相対性理論」を参照
※この「宇宙項」の解説は、「アインシュタイン方程式」の解説の一部です。
「宇宙項」を含む「アインシュタイン方程式」の記事については、「アインシュタイン方程式」の概要を参照ください。
Weblioに収録されているすべての辞書から宇宙項を検索する場合は、下記のリンクをクリックしてください。

- 宇宙項のページへのリンク