学名に関して
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/08 13:03 UTC 版)
本種の種小名である selkirkii は「Selkirk氏の」の意味に取れ、つまりSelkirkという人物にちなんで命名した、と取れる。この人名が誰であるかについては2説がある。1つはロビンソン・クルーソーのモデルとなったとされるアレキサンダー・セルカークとするもので、もう1つはスコットランド、セルカーク州の領主、トーマス・ダグラス・セルカーク伯に由来するというものだ。後者は囲い込み運動で土地を奪われたスコットランドの貧しい農民のためにカナダに広大な植民地を建設したことでよく知られている。 牧野の図鑑では前者が採用されているように見える。昭和15年の版では本種の記述には種小名については何も述べていないが、後の版、例えば牧野(1986)では種小名について「ロビンソン・クルーソーのセルカークにちなんでいるという説もある」と述べた後に何故か「原産地はカーク卿が所有した山」との、他の部分との関連が不明な一文が付随している。 ただしこの部分は最新のものでは手が加えられており、牧野原著(2017)ではやはりアレクサンダー・セルカークを元とするとの説明と共に「この種が人里離れた深山に生息」している事によるとの理由付けを書いてある。が、同時に原産地についてはセルカーク卿の所有する山であったと書いており、むしろこちらが「その名の起源であろう」としている。この加筆がどのような由来を持つかは不明であるが、最初から「カーク卿」の語が含まれていたことから見ると、牧野は両方の説を知っていたのであろう。 いがりまさし(2008)では前者についてはまったく触れず、後者のみが取り上げられている。それによるとこの種の記載はゴールディーによるが、その同定はフレデリック・パーシュにより、彼はこの学名をゴールディーに指示したという。パーシュとセルカーク伯は3歳違いの同年代であり、当然パーシュは伯を知っていたろうといがりまさしは推定しているが、それ以上の事情については明確な記述はない。
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