学名と分類学上の位置
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/03 03:58 UTC 版)
日本では Asterophora Lycoperdoides の学名が広く用いられているが、この名は、厳密には無性世代(すなわち、かさの肉が粉状の厚壁胞子塊に変化した子実体)に当てられたものである。厚壁胞子を形成することなく、ひだに担子胞子を作った状態のヤグラタケに対しては、有性世代を指す Nyctalis lycoperdoides を当てるのが正確である。しかし、実際に野外で採集されるヤグラタケの子実体では、ほぼすべてが厚壁胞子を形成するのに対して、担子胞子はほとんど形成されずに終わることが多い(まれに、一個の子実体において、かさの表面に厚壁胞子が形成され、同時にひだには担子胞子が作られていることもあるが)。すなわち、自然状態では、無性世代のヤグラタケのほうがはるかに普通に見出されるために、後者にあてられた A. lycoperdoides の学名の方が普遍的に使用されているのである。 Nyctalis はギリシア語起源で「夜」の意であり、Asterophora は「星を載せた」の意味を持つ。腐敗しかけて黒っぽく変色した宿主の子実体上に、白っぽいかさを持ったヤグラタケが点々と発生した状態を、「夜空」あるいは「星空」になぞらえたものと思われる。また lycoperdoides は「ホコリタケ属 Lycoperdon に似た」の意で、ヤグラタケのかさが、次第に粉状の厚壁胞子の塊に変化する性質に由来するものである。 かつてはキシメジ科に置かれていたが、DNAの塩基配列に基づく系統解析の結果から、シメジ科に移された。
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