委託による責任
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/11/12 07:25 UTC 版)
政府は、労働保険事務組合に労働保険事務の処理を委託した事業主に対してすべき労働保険料の納入の告知その他の通知及び還付金の交付については、これを労働保険事務組合に対してすることができる。この場合において、労働保険事務組合になされた納入の告知等は、委託契約の内容のいかんにかかわらず、当該事業主に対してしたものとみなされる(徴収法第34条)。 委託事業主が労働保険料その他の徴収金の納付のため、金銭を労働保険事務組合に交付したときは、その金額の限度で、労働保険事務組合は、政府に対して当該徴収金の納付の責に任ずる(徴収法第35条1項)。つまり労働保険事務組合が立替納付をする義務はない。 政府が追徴金又は延滞金を徴収する場合において、その徴収について労働保険事務組合の責めに帰すべき理由があるときは、その限度で、労働保険事務組合は、政府に対して当該徴収金の納付の責めに任ずる(徴収法第35条2項)。労働保険事務組合に届いた督促状等を委託事業主に連絡しなかった場合等が想定されている。逆に、委託事業主が納付すべき金銭を交付しないために延滞金を徴収されることとなった場合は労働保険事務組合は当該納付の責めは負わない。 政府は、労働保険事務組合が納付すべき徴収金については、当該労働保険事務組合に対して滞納処分をしてもなお徴収すべき残余がある場合に限り、その残余の額を委託事業主から徴収することができる(徴収法第35条3項)。つまり、委託事業主は、徴収金相当額を労働保険事務組合に交付したとしても、徴収金納付義務を完全に免れるわけではない。 労働保険事務組合の虚偽の届出、報告又は証明により、不正に給付を受けた者がある場合には、政府は、当該労働保険事務組合に対し、当該給付を受けた者と連帯して当該給付に要した費用の全部または一部を返還することを命ずることができる(徴収法第35条4項)。 労働保険事務組合は、その処理する労働保険事務に関する事項を記載した帳簿を事務所に備えておかなければならない(徴収法第36条)。具体的には以下の書類である(徴収法施行規則第68条)。 労働保険事務等処理委託事業主名簿 労働保険料等徴収及び納付簿 雇用保険被保険者関係届出事務等処理簿 事業主若しくは事業主であった者又は労働保険事務組合若しくは労働保険事務組合であった団体は労働保険徴収法又は施行規則による書類をその完結の日から3年間(雇用保険被保険者関係届出事務等処理簿は4年間)保存しなければならない(徴収法施行規則第72条)。 行政庁は、保険関係が成立し、もしくは成立していた事業の事業主または労働保険事務組合若しくは労働保険事務組合であった団体に対して、徴収法の施行に関し必要な報告、文書の提出又は出頭を命ずることができる(徴収法第42条)。
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