委託を受けた保証人の求償権
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/06 21:54 UTC 版)
保証人が主たる債務者の委託を受けて保証をした場合において、主たる債務者に代わって弁済その他自己の財産をもって債務を消滅させる行為(以下「債務の消滅行為」という。)をしたときは、その保証人は、主たる債務者に対し、そのために支出した財産の額(その財産の額がその債務の消滅行為によって消滅した主たる債務の額を超える場合にあっては、その消滅した額)の求償権を有する(459条1項)。債務の消滅行為にあたっては後述の主たる債務者への事前通知と事後通知を要する。 2017年改正の民法(2020年4月1日法律施行)で委託を受けた保証人が弁済期前に弁済等をした場合の求償権の規定が新設された(459条の2)。主たる債務の弁済期前の保証人の弁済等は、委託の趣旨に反すると考えられることから、委託を受けない保証の場合と同様の範囲にまで求償を制限する趣旨である。 債務が弁済期にあるときなど以下の場合には、委託を受けた保証人は、保証債務を履行する前でも、あらかじめ主たる債務者に求償することができる(460条、事前求償権)。 主たる債務者が破産手続開始の決定を受け、かつ、債権者がその破産財団の配当に加入しないとき。 債務が弁済期にあるとき。ただし、保証契約の後に債権者が主たる債務者に許与した期限は、保証人に対抗することができない。 保証人が過失なく債権者に弁済をすべき旨の裁判の言渡しを受けたとき。なお、2017年の改正前の460条3号は「債務の弁済期が不確定で、かつ、その長期をも確定することができない場合において、保証契約の後十年を経過したとき。」とされていたが、主たる債務の額すら確定できない場合であったため削除された。
※この「委託を受けた保証人の求償権」の解説は、「保証」の解説の一部です。
「委託を受けた保証人の求償権」を含む「保証」の記事については、「保証」の概要を参照ください。
- 委託を受けた保証人の求償権のページへのリンク