天文学による年代決定
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/21 15:08 UTC 版)
ニュートンは、普遍史の年代測定に天文学知識を動員した。古代ギリシアの伝説にアルゴナウタイ遠征譚がある。黒海沿岸のコルキス王国にあるという宝物を目指し、イアーソーンらの英雄たちがアルゴー船で船出したという物語には、当時の星座が記されている。伝説を検討したニュートンは、遠征の際に初めて作られた天球儀は春分点を白羊宮(おひつじ座)に置いたと分析した。これと、実際に春分点を観測した結果から差分を導き、ニュートンは自らが数学的に証明した歳差運動によって春分点が1度黄道上を移動するには72年かかる事を根拠に、アルゴナウタイ遠征は「ソロモン王死後43年」すなわち紀元前937年に実行されたと同定した。 この計算によってニュートンは、当時正確な年号だと見做されていたオリンピアド紀元の元年にあたる紀元前776年よりも古い出来事の絶対的年数を得た。彼はこれを定点と置き、歴史の登場人物の世代などを考慮しつつ、エジプト史やギリシア・ローマ史などが伝える事件の年号を次々と定めていった。その結果、ギリシアの王国建国は過去の想定よりも500年間から1000年間新しい紀元前1085年、ローマは125年間短縮され紀元前624年とされた。
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