天使像の変遷
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/05 03:01 UTC 版)
初期のキリスト教では、天使は(現在の一般的な天使イメージとは異なり)翼を持たない姿で描かれることもあったが、聖書中には4つの翼を持つケルビム と6つの翼を持つセラフィム の記述が存在する。この内、ケルビムの描写は翼の下に人間の手があるとされ、現在広く知られている天使の容姿と合致する内容である。聖書と内容を一部共有するクルアーンにおいても、天使は2対、3対、または4対の翼を持つ存在であるとされている。天使が有翼の姿であると普及するようになるのは、オリエント・ペルシアの天使・精霊のイメージなどが混合されてきたことも一因であると考えられる。 中世ヨーロッパにおいては、絵画から窺える限りでは、天使は有翼で、当時の西欧人の衣装をまとい、「天の聖歌隊」を構成する天使たちは美少年の姿に、悪と戦う使命を持ったミカエルなどは、鎧をまとい剣を帯びた、雄々しい戦士の姿で描かれていた。 近世以降、無垢な子供の姿や、女性の姿、やさしい男性の姿を取って表現されることが多くなった。これはルネサンス期にローマ神話のクピド(女神ウェヌスの子である愛の神)からイメージを借りたとされる。場合によっては童子の顔と翼だけで身体を持たない姿に描かれることもある。 2013年、ローマ・カトリック教会のレンツォ・ラヴァトーリ神父は、ローマで行われた天使美術に関する討論のなかで、翼の生えた子どもとして描かれる天使像は真の姿ではなく、天使は目には見えないが、譬えるならばクリスタルガラスの花瓶を通すことで人の目に映る姿を歪ませる陽光のようなものだと主張した。
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