多硫化物重合体
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/10/24 01:44 UTC 版)
多硫化物はS2−n と表されると述べたが、商業的には多硫化物、あるいはポリスルフィドといえば通常いくつかの硫黄原子と炭化水素が交互に繫がった重合体の一群を指す。この重合体を構成する繰り返し単位の一般式は -[(CH2)m-Sn]x−で表され、n (≧ 2) は硫黄原子の数(または級)を示し、x は構成単位の繰り返しの回数を示している。硫黄原子が炭化水素鎖によってひとつずつ分断された状態で含まれている重合体、たとえばポリフェニレンスルフィド( ( C 6 H 4 S ) n {\displaystyle {\ce {(C6H4S)_n}}} )は、重合体ではあるが多硫化物ではない。 多硫化物重合体は有機二ハロゲン化物と多硫化物イオンのアルカリ金属塩の間での重縮合反応によって合成される。 重縮合反応法において利用される二ハロゲン化物の種類は、ジクロロアルカン(例: 1,2-ジクロロエタン( ClCH 2 CH 2 Cl {\displaystyle {{\ce {ClCH2CH2Cl}}}} )、ビス(2-クロロエトキシ)メタン ( ClCH 2 CH 2 OCH 2 OCH 2 CH 2 Cl {\displaystyle {{\ce {ClCH2CH2OCH2OCH2CH2Cl}}}} )、1,3-ジクロロプロパン ( ClCH 2 CH 2 CH 2 Cl {\displaystyle {{\ce {ClCH2CH2CH2Cl}}}} ))で、一方、アルカリ金属の多硫化物の中では、多硫化ナトリウム( Na 2 Sx {\displaystyle {{\ce {Na2Sx}}}} )がもっともよく使われるものである。 Cl − R − Cl + Na 2 Sn ⟶ ( − R − S n − ) x − {\displaystyle {\ce {Cl^-R^-Cl + Na2Sn -> (-R-S_{n}-)_{x}{}-}}} 開環重合反応によって多硫化物重合体を合成することもできる。 多硫化物重合体は、水、石油、および多くの有機溶媒に不溶性であり、そのためにシーリング剤としてしばしば用いられる。それらのシーリング剤は道路舗装、自動車の窓ガラス、飛行機の機体の繋ぎ目を埋めるために用いられている。これらの部位へ多硫化物のシーリング剤を応用するもっとも大きな理由は水の侵入を防ぐことである。
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