変な軍記
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/30 06:57 UTC 版)
将棋の横では、吉公が壁に向かって貸本を読んでいる。 「おい、吉っつあん、何を読んでいるんだい?」「小生が読んでおりますのは…てぇこう記」「…親子喧嘩の話か? それを言うなら『太閤記』だろ?」 今、姉川の合戦を読んでいるという吉公に、みんなが「読んでくれないか」と頼んでみる。 「良いけどさ…、俺は立て板に水だぞ? 一度ピューッと行ったら戻ってこないぜ?」 エェェェェェェェーとサイレンまがいの声色で調子を試して…。 「このと…き、真柄…真柄ジフラ…じゃねぇ。真柄十郎左衛…門が、敵に向かってまつこう…まつこう…マツコウ!!」「何だい?」 立て板に水どころか【横板に餅】。「真っ向」という言葉を聞き違え、松公というあだ名の男が返事をしてしまった。 「真っ向…立ち向かって、一尺八寸の大刀を…」「オイオイ、一尺八寸のどこが大刀だよ? それじゃあ肥後の守だ」「そこは但し書きが書いてある。『一尺八寸とは刀の横幅なり』…」「馬鹿! そんな戸板みたいな刀があるかい!? 第一、前が見えないだろ?」「そこはもう一つ但し書き。『刀には窓が付いていて、敵が来たらそこから覗く』」 安永2年(1705年)に出版された笑話本・「聞上手」の一遍である『大太刀』。 「今度は何を読むんだ?」「太閤記よ!」「太閤記としてあるぞ」「何だって?してあるぞって」「清正は槍を持ってエーやりくり」「清正が突かんとすれば秀吉ひらりと体を避け・・・」「なんで主人と家来が戦うんだ?」「主人と家来だけど暇じゃ困るから戦の稽古をしています」「冗談言うんじゃねえ!」
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