場の量子論における生成消滅演算子
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/02/09 09:08 UTC 版)
「生成消滅演算子」の記事における「場の量子論における生成消滅演算子」の解説
詳細は「第二量子化」を参照 量子論における場は、演算子で表される。相互作用が無い場合などでは、場の演算子が従うべき方程式を(フーリエ展開などで)解くことができる。その結果、場が粒子の生成消滅演算子で表されることがわかり、多体系と見なすことができる(ただし相互作用がある場合には、一般に生成消滅演算子を導入できるとは限らない。したがって場が第一義的な基本量であり、ハミルトニアン等の物理量も場を使って書き表す。) 多体系や場の量子論における生成消滅演算子は、ボース粒子とフェルミ粒子で定義が異なる。 H {\displaystyle {\mathcal {H}}} を1粒子ヒルベルト空間とする。 H {\displaystyle {\mathcal {H}}} 上のすべての f {\displaystyle f\ } における a ^ ( f ) {\displaystyle {\hat {a}}(f)\ } によって得られる代数に注目する。 ボース粒子での生成消滅演算子は、交換関係を用いて以下のように定義される。 [ a ( f ) , a ( g ) ] = [ a † ( f ) , a † ( g ) ] = 0 {\displaystyle [a(f),a(g)]=[a^{\dagger }(f),a^{\dagger }(g)]=0} [ a ( f ) , a † ( g ) ] = ⟨ f | g ⟩ {\displaystyle [a(f),a^{\dagger }(g)]=\langle f|g\rangle } , フェルミ粒子での生成消滅演算子は、反交換関係を用いて以下のように定義される。フェルミ粒子で交換関係を用いると、エネルギー固有値に下限が無くなる、負のノルム状態が現れるなど、物理的に意味のある理論が得られないためである。 { a ( f ) , a ( g ) } = { a † ( f ) , a † ( g ) } = 0 {\displaystyle \{a(f),a(g)\}=\{a^{\dagger }(f),a^{\dagger }(g)\}=0} { a ( f ) , a † ( g ) } = ⟨ f | g ⟩ {\displaystyle \{a(f),a^{\dagger }(g)\}=\langle f|g\rangle } 消滅演算子 a ^ ( f ) {\displaystyle {\hat {a}}(f)\ } は H {\displaystyle {\mathcal {H}}} 上で反線形である。生成演算子 a ^ † ( f ) {\displaystyle {\hat {a}}^{\dagger }(f)\ } は H {\displaystyle {\mathcal {H}}} 上で線形である。物理的には、 a ^ ( f ) {\displaystyle {\hat {a}}(f)\ } は状態 | f ⟩ {\displaystyle |f\rangle } の粒子を消滅させ、 a ^ † ( f ) {\displaystyle {\hat {a}}^{\dagger }(f)\ } は状態 | f ⟩ {\displaystyle |f\rangle } の粒子を生成させる。 自由場の真空状態は粒子の無い状態である。つまり、 a ( f ) | 0 ⟩ = 0 {\displaystyle a(f)|0\rangle =0} ここで | 0 ⟩ {\displaystyle |0\rangle } は真空状態である。 | f ⟩ {\displaystyle |f\rangle } が規格化 ⟨ f | f ⟩ = 1 {\displaystyle \langle f|f\rangle =1} されている場合、 a ^ † ( f ) a ^ ( f ) {\displaystyle {\hat {a}}^{\dagger }(f){\hat {a}}(f)\ } は状態 | f ⟩ {\displaystyle |f\rangle } の粒子数を与える。
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