国務大臣の副署を要しない詔勅
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/21 07:19 UTC 版)
「詔勅」の記事における「国務大臣の副署を要しない詔勅」の解説
帝国憲法第55条第2項により「国務ニ関ル詔勅」には国務大臣の副署を要するとされた。国務ニ関ル詔勅とは国務大臣の天皇輔弼責任に関する詔勅であって、それ以外の詔勅は国務大臣の副署を必ずしも要しなかった。国務大臣の副署を要しない詔勅としては次のものがあった。 純粋に皇室内部の事務に関する詔勅。たとえば皇室の事務に関する勅書、国務に関わらない皇室令、親任の宮内官の官記には国務大臣は副署しなかった。 軍の統帥に関する詔勅。軍令のうち公示の要するものには陸軍大臣や海軍大臣が副署するが、軍令は統帥に関する規定であり、国務に関する詔勅でないと見なされるので、陸軍大臣・海軍大臣は国務大臣として副署するのではなく軍の統帥に関与する当局者としての資格において副署すると解された。 栄典に関する詔勅。たとえば爵記、位記、勲記は天皇が親署するものであっても国務大臣は副署しなかった。 神霊につげる告文。告文については何も規定がない。 勅語には実例として国務大臣の副署がなかった。副署はその性質上文書による詔勅に限られるので当然ながら口頭による詔勅に副署することはできないが、天皇が口頭で発した詔勅を書面に書いて渡す場合でも、その書面を勅語の写しであると見做して、それに国務大臣が副署しないのを慣例とした。帝国議会開院式の勅語や、元老優遇の御沙汰書などは勅語の写しという扱いであり、大臣の副署はなかった。
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