因果関係の錯誤と故意の成否とは? わかりやすく解説

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因果関係の錯誤と故意の成否

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/11/11 02:34 UTC 版)

因果関係の錯誤」の記事における「因果関係の錯誤と故意の成否」の解説

通常(という限定をつけるのは、構成要件特定の因果経過を予定している場合があるからである)、具体的な因果関係経過構成要件上重とはいえないから、行為者認識していた因果経過と実際に生じた因果経過とが、構成要件客観面において因果関係があるということ前提にして、相当因果関係範囲内符合すれば、その錯誤故意成立妨げ原因とはならない通説では、実行行為構成要件結果との間に成り立つ原因結果関係を問題にする因果関係論と行為者予見した因果経過現実発生した因果経過不一致問題にする因果関係の錯誤問題区別する行為者故意があるというためには、(後述する因果関係の認識不要説除き刑法上、客観面において因果関係があると評価できるだけの因果関係行為者認識していることが必要であるが、現実生じた因果経が行為者の認識した因果経過と一致する要はない。 これは、刑法適用問題となる事例考えるよりも、ビリヤードブロック崩しなどの卑近な例考えると分かりやすい。 いま、ビリヤードナインボールプレイしているプレイヤーが、9番ボールをあるポケット沈めようとしている。彼は、手玉を9番ボール直接当ててそのポケット沈めようと思っていたが、玉を突く時に手がすべり、手玉クッションではね返ってから9番ボール当たった。しかし、偶然にも9番ボール狙ったとおりのポケット沈み、彼はゲーム勝利した。 この設例では、「9番ボールポケット沈んだこと(および手玉ポケットに入らなかったこと)」と「その結果プレイヤー行為によって生じたこと」が重要であり、手玉どのような経路で9番ボール当たったかや、9番ボール具体的にどのように動いたか(刑法でいえば、具体的な因果経過)は重要でない(実はゲームの勝敗という観点からは、9番ボールがどのポケットに入るかも重要ではない)。もっとも、例えば仮にルールで「手玉狙いの玉に当てるには、手玉クッション当ててはいけない」と定められていた場合刑法の例でいえば、構成要件特定の因果経過を予定していた場合に当たる)、この例におけるプレイヤーゲーム勝利することができないこのような場合には、因果関係経過が重要である。 因果関係の錯誤に関する著名な事例としては次の2つがある。 一つヴェーバーの概括的故意(遅すぎた構成要件実現といわれる例である。 これは、主観的には首を絞めて死亡させよう思ったが、客観的には、首を絞めたあと被害者生存しており、川に投げ込んだ後に溺死したというのが代表的な事例である。 つまり、予定していた因果経過よりも遅く結果生じてしまったときである。 いま一つは、これと主観と客観が逆となる'早すぎた構成要件実現といわれる例である。 例えば、主観的には首を絞めた後に川に投げ込んで溺死させよう思ったが、客観的には、首を絞めたあと、それによって被害者死亡してしまったという事例が考えられる。 つまり、予定していた因果経過よりも早く結果生じてしまった場合である。

※この「因果関係の錯誤と故意の成否」の解説は、「因果関係の錯誤」の解説の一部です。
「因果関係の錯誤と故意の成否」を含む「因果関係の錯誤」の記事については、「因果関係の錯誤」の概要を参照ください。

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