商標をめぐる問題
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/11 10:02 UTC 版)
スタンダード・オイル・オブ・ニュージャージーは、他のスタンダード・オイルと互いの営業地域を侵さないというマーケティングの協定を持っていた。しかしトラスト解体後に他社の営業地域を侵すようになった。一例として1930年代初めに3つのガソリンスタンドがスタンダード・オイル・オブ・インディアナの領域である中西部で開業した。問題を複雑にしたのはラジオのコマーシャルで「Esso」と「SO」の区別が付かないことであった。訴訟が次々と起こされ、中西部で「SO」の商標を使用する権利を持つスタンダード・オイル・オブ・インディアナが勝訴した。 このためスタンダード・オイル・オブ・ニュージャージーは、「Esso」の商標をアメリカ国内では旧来の自社営業地域以外で使用できなくなってしまった。そのため、同社は「ハンブル」「オーバルE」群小石油会社をことごとく合併してはそれぞれの商標を使用する方法を選択した。 1960年頃、全米統一商標としてEnergy Company(燃料会社)の略である「Enco」を使用することに決定。米国の一部の州での採用を経たのち「Esso」に代わる全世界商標に採用すべく準備を進めていたが、「エンコ」が日本の俗語で「エンジントラブル(エンジン故障)」を意味していたことから日本のエッソ・スタンダード石油が待ったをかけ、全世界商標への採用は中止となってしまった。 1974年、他のスタンダード・オイルと誤解されず、かつ全世界で会社にとって不利益な意味とならない言葉として「EXXON」を採用。全米で使用を開始したが、それでも「エクソン」と「SO」の区別が付かないとして以前と同様の状況が発生した。 現在スタンダード・オイル・オブ・ニュージャージーはエクソンモービルである。一方スタンダード・オイル・オブ・インディアナはアモコ(BPの一部)である。 エッソの商標はアメリカ合衆国では使用されていないが、アメリカ合衆国以外の国では現在も使用されている。カナダにおいてエッソはインペリアル・オイル配下のガソリンスタンドで使用される。スタンダード・オイルおよびその後継の会社が、アメリカ合衆国を始めとする諸国でエクソンに商標を変更したとき、カナダなど諸外国ではそれがエッソのまま継続された。
※この「商標をめぐる問題」の解説は、「エッソ」の解説の一部です。
「商標をめぐる問題」を含む「エッソ」の記事については、「エッソ」の概要を参照ください。
- 商標をめぐる問題のページへのリンク