呪術と医療
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/08 16:37 UTC 版)
呪術が医療として機能していたことは民間医療などにもその痕跡がみられる。温泉(冷泉)治療なども経験的な医療効果が信じられヨーロッパや日本などでも利用され、特定の信仰と結びつき呪術的要素を持っているものもある。特に日本においては、「詣で」と宿場と温泉地が結びつき、湯治はもちろん宿泊や入湯も禊や払いであった。沖縄には蕁麻疹、かさ(皮膚病)、魚骨が喉にささった時、ハブ除け、悪霊が付いた時、くしゃみの時の呪術があった。くしゃみをすると霊魂が外に出るという考えがあった。 アフリカの一部の国では、毒(植物に限らない)の生成と薬草の使用は生活の上で重要な位置を占め、それに伴いその知識を独占的に持つシャーマンが存在する。シャーマンは現在、呪術医として分業するものも多い。彼らが"呪術"に使用する薬草を科学的に分析してみたところ、薬理効果があることが実証されているという事例もあり、その知識と薬草の提供に対し契約している製薬会社も存在する。 東洋医学における漢方薬、灸、針なども近代科学とは別の由来を持つという意味では同様の事例である。東洋医学においては歴史的に蓄積されてきた薬草の知識や陰陽五行などの思想体系が背景にある。 また、心理学的な作用が結果として効果を発揮していると見られるケースや、行為者が意識的に心理効果を狙っているケースもある。暗示や催眠によるものなどである。このような心理効果の活用例には「プラセボ」と呼ばれる薬を用いた治療方法が挙げられる。
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