参照される標準
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/31 14:43 UTC 版)
会議は、既存のフランスの標準に基づく新しい国際標準を議論するために招集された。既存のフランスの標準は1799年に作成された原器に基づくが、すでに70年も使われており、消耗によって制定当時から長さ・重さが変化している可能性があった。 1870年の会議の前に、メートル原器が本来の定義による長さより0.03パーセント(300µm)短かったため、既存のメートル原器が国際社会に拒絶されることをフランスの政治家は恐れ、新しい子午線弧の測定を命じた。ドイツ生まれのスイスの代表が「現代の科学者で、地球の大きさから導き出される1メートルを想定している者はいない」と発言したため、フランスの政治家は安心した。1875年に会議が再召集されたとき、できるだけ厳密に既存の原器の値を再現するために、新しい原器を作成することが提案された。 新しいメートル原器は古いメートル原器と同じ長さであるが、測定時の屈曲を減らすために、それまでの長方形の断面から、アンリ・トレスカの考案によるX字型の断面に変更された。また、原器の全体の長さは1メートルより少しだけ長く、両端付近に刻まれた線の間隔が1メートルと定義された。ロンドンの会社ジョンソン・マッセイは、30個のメートル原器と40個のキログラム原器を製造した。1889年の第1回CGPMで、No.6のメートル原器とNo.Xのキログラム原器が国際原器に選ばれた。残りはBIPMでの作業用として保存されるか、各加盟国にその国の原器とするために配布された。国際メートル原器は、1960年にメートルの定義がクリプトン86の発光スペクトルが示す波長に基づいて変更されるまで国際標準として使用された。国際キログラム原器は2019年に施行されたSI基本単位の再定義により廃止された。
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