原理と作用
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/05/04 02:46 UTC 版)
水道水を造るために水を塩素化合物で消毒しようとする際、例えば塩素ガスを水に溶かすと、水と反応して次亜塩素酸と塩酸が発生し、更に次亜塩素酸の一部は次亜塩素酸イオンと水素イオンとに解離する。 詳細は「次亜塩素酸」を参照 次亜塩素酸と次亜塩素酸イオンは遊離残留塩素(ゆうりざんりゅうえんそ)または有効塩素(ゆうこうえんそ)と呼ばれるが、その強い酸化力で微生物やウイルスなど病原生物の細胞膜や細胞壁を破壊し、内部の蛋白質や核酸を変性させることで殺菌または消毒の効果を発揮する。 一方、自然水に含まれるアンモニアやその化合物は、一般的な浄水場の処理だけでは必ずしも取り除くことができない。遊離残留塩素はこれと反応してクロラミンとなるが、クロラミンのうちモノクロラミン、ジクロラミン、トリクロラミンは結合残留塩素(けつごうざんりゅうえんそ)と呼ばれ、遊離残留塩素に比べればおよそ数分の1の効果ではあるが、酸化力に由来する比較的強い殺菌または消毒力を持つ。 しかし、結合残留塩素は過剰の遊離残留塩素と反応して消失してしまうため、水中のアンモニアやその化合物が全て結合残留塩素に変化し終わった後更に塩素ガスの注入量を増やしてゆくと、結合残留塩素も遊離残留塩素も共に消失してゆき、ついにはある注入量でゼロに近くなり殺菌や消毒の効果を失ってしまう。このときの注入量を不連続点(ふれんぞくてん)と呼ぶが、不連続点から更に塩素ガスの注入量を増やすと再び遊離残留塩素のみが増加してゆき、殺菌・消毒効果が増してくる。 不連続点を越えた遊離残留塩素による塩素消毒を不連続点塩素処理と呼び、過剰の遊離残留塩素を出さないようにして結合残留塩素のみで殺菌または消毒力を発揮させる方法を結合塩素処理と呼ぶ。
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