単純な換字式暗号の発生
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/13 21:18 UTC 版)
暗号の起源は紀元前にまで遡る。紀元前19世紀ごろの古代エジプトの石碑に描かれているヒエログリフ(象形文字)が現存する最古の暗号文とされている。文章中に標準以外のヒエログリフを用いたものがあり、一般のヒエログリフしか知らない者から書いてある内容を隠すのに役立ったと考えられ、これはもっとも初期の換字式暗号のひとつである。 紀元前5世紀にはスパルタでスキュタレー暗号が使用される。棒(スキュタレー)と革紐とを使った暗号方式で、革紐上には一見ランダムに見える文字列が描かれているが、この革紐をスキュタレーに巻きつけると、ある行に平文が現われる。スキュタレー暗号では棒の太さが鍵になっているとも捉えることもできる。棒と革紐を別の人間が所持し、割符のようにも使ったらしい。 紀元前2世紀にはポリュビオスがポリュビオス暗号を発明する。ポリュビオス暗号は、5×5=25のマス目にアルファベットを記入し、各アルファベットにそのアルファベットが入っているマス目の行番号と列番号とを対応させる換字式暗号である。 紀元前1世紀に登場したシーザー暗号は、ユリウス・カエサルが用いたとされ暗号の歴史の中でもとりわけ有名なものである。シーザー暗号は元のアルファベットから文字をある数だけ後にずらして作成する暗号方式であり、この数が鍵となっている。しかし鍵の数が26しかないため、暗号の安全性はアルゴリズムの秘匿にも依存していると考えられる。 それに比べて、文字と文字の対応を不規則にした一般的な単一換字式暗号は、その鍵の数が26の階乗存在(アルファベットの場合)し、ほぼ解読が不可能と思われた。
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