医学的見地から
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/15 18:54 UTC 版)
「杏林大病院割りばし死事件」の記事における「医学的見地から」の解説
死亡後、死因究明のため腰椎穿刺がなされたところ、血性髄液の所見を認めた。脳出血を疑い頭部X線とCT撮影を行ったが、後頭蓋窩に硬膜外血腫と空気の混入が認められたものの、依然死因は不明であったという。その後の司法解剖で初めて、頸静脈孔に嵌入し頭蓋底を越え小脳まで穿通した約7.6cmの割り箸の断片が確認された。 刑事判決で認定された事実は「男児が割り箸を咥えたまま転倒し、自分で抜去したものの、割りばしの先端が残り、残った部分は頭蓋骨を損傷せず左頸静脈孔に嵌入して頭蓋腔に達して左内頸静脈の内腔を閉塞し、同部位から左S状静脈洞や左横静脈洞にかけて静脈内血栓を形成、これが死亡原因となった」というものである。一方、民事判決では「脳浮腫及び頭蓋内圧亢進に伴い、最終的に呼吸中枢ないし循環中枢の障害により死亡したと認められるが、具体的な機序は不明」としている。 杏林大学の過去10年前後のデータでは、何らかの物で口腔内を突いたケースは100例程度あったが、そのうち重大な問題を引き起こした例や死亡した例は一例もなかったという。また頭蓋底は厚く硬い骨であり、通常は割り箸が貫通することは考えられない。世界的に見ても頚静脈孔に異物が嵌入し小脳に到達するという症例報告は存在しない。本症例は極めて特異な例であった。
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