北京咳
別名:ペキン咳
中国・北京を訪れた人が北京滞在中に発症するとされる呼吸器疾患の通称。重度の大気汚染を原因とする。外国人が北京にしばらく滞在すると、咳が止まらなくなり、北京を離れると咳は止むという。
「北京咳」はあくまで通称であり、このような病名があるわけではない。また、大気汚染による健康被害のリスクは、北京に限ったものではなく、中国国内のいくつもの大都市圏が共通して抱える問題である。
大気汚染の度合いは、主に「PM2.5」と呼ばれる微粒子の大気中濃度により測られる。PM2.5は粒子直径2.5マイクロメートル以下の微粒子の総称であり、呼吸器の深部に到達しうるため健康被害に直結するとされている。大気汚染の度合いを指標化する「大気質指数」(Air Quality Index)では、PM2.5の大気中濃度の指数が100を超えると汚染が認められるレベルとし、同じく指数が300を超えると、有害・危険なレベルであるとしている。300を超えると健康な人でも炎症その他の健康被害が危惧され、外出や野外活動は自粛するように勧告される。
大紀元日本語版は、2012年12月に北京の大気汚染指数が「557」を記録し、2013年1月12日には北京の在中米国大使館で「886」の値を記録したことを報じている。
また、大紀元は、北京、上海、広州、西安の4大都市におけるPM2.5を原因とする死亡者の数が、2012年内だけでも8500人に上ったと伝えている。
関連サイト:
基準値はるかに超える空気汚染指数 北京「国情に符合」 - 大紀元日本語版 2012年12月11日
北京咳 深刻化する大気汚染 PM2.5で死者8500人 - 大紀元日本語版 2013年1月15日
北京の大気汚染深刻化 外国人悩ます「北京咳」 - 人民網日本語版 2013年1月23日
北京市内の大気汚染について - 在中国日本国大使館 2012年10月
北京咳
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/23 04:58 UTC 版)
ナビゲーションに移動 検索に移動北京咳(ペキンせき、Beijing Cough)とは、中国北京における呼吸器症状を指す俗語である。2013年初頭、北京におけるスモッグが深刻な問題となり、北京市民にも注目されるようになった。
概要
1990年、国際ロータリーの機関誌「The Rotarian」において、北京における大気汚染を原因とした呼吸器症状を「Beijing Cough」と紹介した[1]のが初出とされる。2000年に入り、アメリカの経済学者の著書に再び取り上げられた後、2003年、アメリカの北京旅行ガイドが、12月から4月にかけて悩まされる咳として紹介し、その後、北京を訪れる外国人の間で、北京を訪れる間にのみ現れる呼吸器症状を指す言葉としてよく使われるようになった。[2]
当初北京市民にはあまり馴染みのない言葉であったが徐々に普及し、2013年1月に発生した、北京における大規模なスモッグをきっかけに、中国国内の新聞記事においても取り上げられるようになった。
原因
大気汚染によるものとされる一方で、北京の冬の気候が乾燥していることも影響しているともされる。
なお、中国政府系メディアである新華社が発行する経済参考報は、北京大学人民病院の医師の発言として、上記に加え生活習慣も合わせて考えねばならず、明確な原因がわからない中で北京咳と呼ぶことは「北京市に対する極度の侮辱」と伝えた[3][4]。
北京の大気汚染状況
2013年1月12日、在北京アメリカ大使館の測定による北京の大気汚染指数(Air Quality Index)は過去最悪の755、PM2.5は1㎥(1立方メートル)あたり886㎍(886マイクログラム)を記録した[5]。
Air Quality Indexの値は201~300が「Very Unhealthy(とても不健康)」、301を超えると「Hazardous(危険)」となる。[6]。
大紀元によれば、北京大学とグリーンピースの調査として、北京、上海、広州、西安においてPM2.5が原因となった死者は2012年だけで年間8,500人を上回ったとしている[7]。
2013年9月29日には市の大気汚染が最悪レベルになった[8]。
大気汚染対策
PM2.5は粒子の大きさが非常に細かいため、通常のマスクで防ぐことはできない。
中国政府系メディアの反応
原因の項において述べたとおり、中国政府系メディアは「北京咳」の名称を北京に対する侮辱とするコメントを配信する一方で、この「侮辱」という表現を「環境保護に関する一種の恥」とするコメントも配信している[9]。
中国人民の反応
中国の著名な実業家で慈善活動家でもある陳光標氏が「空気の缶詰」を1缶5元で販売したところ、10日間で800万個を売り上げた。[10]。
脚注
- ^ The Rotarian1990年9月
- ^ 南方週末2013年1月3日(http://www.chinadialogue.net/article/show/single/en/5618-Smog-causes-spread-of-Beijing-Cough- 英訳)
- ^ レコードチャイナ 2013年1月26日
- ^ 新華網2013年1月21日
- ^ レスポンス2013年1月16日
- ^ The Economist
- ^ 大紀元2013年1月15日
- ^ 北京の大気汚染、最悪レベルに=中国 - びわ湖大津経済新聞(2013年9月29日閲覧)
- ^ 新華経済2013年1月23日
- ^ スポーツ報知 2013年2月5日
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