勝沼氏館跡の動物遺体
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/09 01:42 UTC 版)
勝沼氏館跡からは中世(15世紀代)の動物遺体(哺乳類・魚類・鳥類)が多数出土ている。出土した動物遺体のうち、哺乳類はシカ・イノシシ・イヌ・ウマの4種。狩猟対象であるシカが大多数で、部位の重複がいないことから1個体の若獣であると考えられている。シカは骨としての価値が低い椎骨・肋骨に切跡が見られることから、食肉用として解体されたと考えられている。中世武家居館における肉食の存在を示す資料として注目されている。イヌは幅約5メートル、深さ1.6メートルの堀の最下層から出土し、上腕骨1点が確認されている。 魚類はアジ科の小型魚類・タイ科・スマカツオ・スマが出土している。15世紀段階での甲斐における海産物流通の資料として注目されている。ほか、マグロ属が出土しているが、後代の混入であると見られている。鳥類はニワトリが出土している。 中世甲斐における海産物の流通に関しては、文献資料では笛吹市御坂町二ノ宮に鎮座する二宮美和神社の『二宮祭礼帳』(戦国期の天正年間)が知られ、ソウダガツオ、イワシなど海産物の存在を記録している。考古資料では南アルプス市大師の大師東丹保遺跡から出土した鎌倉時代のマダイが知られていたが、2009年には勝沼氏館跡の他にも南アルプス市の野牛島・西ノ久保遺跡において15世紀頃のソウダガツオ属が報告されている。
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